通せんぼ
あるところ、あるばしょ。
一つの橋が通行止めになっていました。
その橋の前には、誰かが立っています。
「ここを、通しておくれ」
「やだね」
ここから先は、通ってほしくない。
だから、通せんぼ。
けれどどうしても通りたかったら、なにか置いてきなさい。
「お菓子しかないけど、これをあげれば通してくれるかい?」
「通ってよし」
お菓子をもらった後は、通せんぼをかいじょ。
橋をわたりたかった人は向こうへ移動していった。
そしたら、次の人もやってきた。
「ここは通れません」
「どうすれば通してくれるの?」
「何かちょうだい」
「分かった、このおもちゃをあげよう」
二番目の人はおもちゃをさしだしたので、通せんぼをかいじょ。
その人は「かわいそうにねぇ」といいながら、向こうへ通っていった。
またまた人がやってきた。
「通りたければ、なにか置いてくこと」
「あんまり喜ばないかもしれないけど、お金を置いていこう」
「通ってよし」
通せんぼをかいじょ。
三番目の人はかわいそうな表情で橋の向こう側へと通っていく。
通せんぼをしている男の子を見かけた者たちは、みんなかわいそうな表情になっています。
「かわいそうに、親をなくしてひとりぼっちになってしまうなんて」
「いやな親に育てられたものだから、ムジョウケンのホドコシが受け入れられないんだね」