80話 スケルトンキングの首
スケルトンの軍勢を壊滅させたリアは、先に倒した方のスケルトンキングの頭蓋骨を収納魔法で収納して帰路についた。
先にハデス王国の城門に立ち寄り、兵士たちに声をかける。
「敵軍は1体残らず殲滅してきたので、事後処理はお願いします。といってもそんなにすることはないと思いますが。」
「リア様、我が国をお守りいただきありがとうございます。それについて国王殿下直々に貴殿と会談をしたいとのことなのでこちらによろしいでしょうか?」
「申し訳ありませんが、お断り申し上げます。昨日も申し上げた通り報酬も礼も求めていませんので。それに他国にも魔王軍の軍勢が迫っていますのでそちらの救援にも行かないとなりませんので」
「かしこまりました。国王殿下に伝えておきます。それではのちにクヌム王国に使者を送りますのでその件のみ国王様にお伝えしておいていただけないでしょうか?」
「はい、その程度のことなら。それでは私は帰りますのでこれで失礼いたします。」
リアはそう言って去っていった。
街の外まで出て、人の少ないところまで来ると、いつものように魔法で姿を消して、キルスまで転移した。あとはいつも遠征する時の流れと変わらず、ギルドマスターのもとへ報告に向かった。
「本当に1日で帰ってきたのね‥‥‥」
リアの姿を見たリーンの第一声がそれだった。
「はい。これまでで一番苦戦しましたけどなんとか」
「苦戦してたらもっと時間がかかるでしょうが!!!!」
「そう言われても今回初めて一度死んだので」
「死んだ!?じゃあなんでここにいるのよ」
「生き返る魔法を事前に使っていました!」
「規格外すぎてもう何も言葉が出ないからもうなんでもいいわ。とりあえず敵の詳細と、事の顛末だけ教えてちょうだい。」
そうリーンに言われたので、敵の種族と数、強さと、ハデス王国の兵士に言われたことを正確に伝えた。
「そう、それはとてつもない軍勢ね。で、何か証拠になるものを持ってくるって話してたけど何かあるかしら?それがないと流石に国王になんて報告すればいいのかわからないのよね」
「敵将の首でしたら取ってきましたけどそれでいいですか?」
「スケルトンキングの首ですって!?あのモンスターの骨は世界でも最高の素材として重宝されるのよ。本当に渡してしまっていいの?」
「はい。しばらく暮らせるくらいのお金はありますし、それくらいしか証拠になりそうなものもなかったので」
そう言って首を渡すリア。受け取ったリーンも少し微妙そうな顔をしていたが見なかったことにしよう。
「3日間休暇をあげるから、しっかり休んでおきなさい。3日後にまたこの部屋に来て。次に向かってもらう国を伝えるから。」
部屋から出る時にそう言われたのでこの3日間は思いっきり休むことにした。




