8話 親子の戦い
それからは、お弁当どころではなく、すぐに村に戻り、ゴブリンキングがいたが、すでに倒したため安心してよいことなどを村の人々に伝え、帰路に就いた。
その日の夜、リアはベッドの中で一つの夢を抱いた。
(私、冒険者になりたい!)
それほどまでに、リアは今日の戦いを楽しいと感じられたのだった。
次の日は何の変哲もない1日を送った。その日の夜、リアは両親に自分の夢を打ち明けた。
「パパ、ママ。私、冒険者になりたい!」
両親はそろって険しい顔をした。しばしの沈黙ののち、父親が口を開いた。
「明日から、剣の修業をつけてやる。それで俺に勝てたなら冒険者になることを認めよう。」
母は何も言わない。
(つまりパパに勝てば冒険者になっていいってこと?サイコーじゃん!)
リアは甘く考えていたが、実際リアにとってそれほど難しいことではなかった。
翌日、家の庭にて、アランとリアによる模擬戦が行われた。
リアは「マテリアルサーチ」を発動させているため、たとえ相手が透明人間になったとしてもその動きを追うことができる。そしてもう1つ。「フィジカルストレングス」これもリアのオリジナル魔法だ。身体能力全般を強化する魔法だ。
こうして、木刀での模擬戦が始まった。
先手を取ったのはアラン、スキル{超速剣}で一気に距離を詰めてリアに切りかかる。しかし、これはリアも予測済みだったため、剣で受け止める。アランは舌打ちをし、一度距離をとる。次はリアが攻撃を仕掛けた。しかし、身体能力を強化しているとはいえ、まだ子供。全て受け止められてしまう。しかし、これもリアの想定通りだった。一瞬だけ距離を取ったリアが使ったのは「ソニックムーブ」物理攻撃はできなくなったが、問題ない。
「ソニックムーブ」のデメリット効果には一つ穴がある。それは、敵に当たる前に使用者の手から離れた武器などによる攻撃は有効なのである。
そこでリアは、圧倒的なスピードでアランを惑わせ、一気に懐に潜り込む。アランもこれには対応できない。そのままの速度で剣がアランに当たる直前に手を放す。その一撃でアランは気絶した。
たったの一撃で決着がついてしまったのだった。