76話 2度目の死
スケルトン達に殴りかかって1時間が経った。前衛にいるにはすべて普通のスケルトン達なので棍棒で殴りつけるだけで倒すことができた。しかし、流石に数が多すぎる。後方から魔法攻撃も仕掛けられてはいるが、これはRSTで無効化できているので問題ない。
しかし、棍棒を振り回すだけでも体力は消費されていく。支援魔法を使用してもやはり何も効果はなく、かなり厳しい状態が続いている。この戦いでリアは勝ち目がないことを確信していた。自分にかけられている魔法を使用できなくする魔法は数分に一度かけ直されている。その間のわずか一瞬ではあるが魔法の使用ができる。しかし、禁呪で時間を止めるには魔力を練り上げる余裕がなく、攻撃魔法は結界で弾かれてしまう。転移魔法は、結界で外部との干渉ができないので使用できない。
今倒したスケルトンの数はせいぜい3000程度である。これの上位存在までいるとなると勝てないのは分かり切っている。ではどうするか。リアは一つだけ可能性を見出していた。
それは転生魔法。リアは何かあった時のために転生できるよう魔法の開発を進めていた。この転生魔法の術式は前世の記憶とスキル、容姿を全て引き継ぐというもの。強力すぎるが故にその魔法を使用すると同時に魔力の代わりに使用者の命が失われる。
そして、何もないところに赤子の状態で転生直前に来ていた衣類一式と放置されるといった鬼畜さである。もちろんだが、生まれ変わった後にもう一度使用することはできない。
つまり他人に使用することはほぼ不可能で、使用してもほぼ即死とも言える魔法である。
ここで死んだとしても転生して今度は勝ちに行けばいい。リアは自身にのみ使用できる老化と若返りの魔法も開発している。そのため、赤子の状態で放置されてもすぐに成長できるので問題がない。
そう結論づけ、リアは転生魔法の術式を組み上げながら、死なないようにスケルトン達を退け続けた。
そして10分ほどで魔法が完成した。2度目の死を迎えることになってしまうので使用は躊躇われてしまうが仕方がない。そしてそれから5分ほどのタイミングで敵の魔法の継ぎ目が来た。それと同時にリアが魔法を叫ぶ。
「転生魔法【再現転生】!!!!!!」
そう叫ぶとリアの意識は暗闇に包まれ体が動かなくなった。




