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68話 世界の脅威

なにも思いつかないまま大通りを歩いていたリアに声がかけられた。


「リアさん、少しいいですか?」


声の主は私服姿のアンだった。


「アンさんじゃないですか。こんなところでどうしたんですか?」


「はい、今日は休みなのですが、リアさんを見つけたらギルドマスターの部屋に来るように伝えておいてくれと言われてまして。」


「アンさんも大変ですね。伝達ありがとうございます。すぐにいってきますね。」


「はい、行ってっらっしゃい。」


アンに見送られてリアはギルドへ向かった。

ギルドへ到着し、受付嬢にギルドマスターに呼ばれている件を伝えると奥に通してくれた。しかし、アンとは違い、リアだけを奥に通しただけで部屋まで連れて行ってくれるわけではなかった。部屋の場所も覚えていたので問題はなかったが少し不思議に思いながら扉をノックした。


「アンさんに呼ばれていることを聞いてきましたリアです。」


ノックしてすぐにそういうと、


「入って」


そういわれたので入室すると、リーンが使う机の上に重そうな大きな袋が置かれていた。


「国からあなたへの報酬が出たから呼んだのだけれど、かなり多いし、持ち運び自体大変そうだけど大丈夫そう?」


「はい。魔法で収納できるので大丈夫です。」


「そう……。魔法ってそんなに便利なものじゃないはずなんだけどもういいわ。」


呆れたような感じでそう言ったリーンだったが、すぐに真剣な表情になるとリアに国家単位でのとある事実を語り始めた。


「もう一つあなたに重要な話があるのだけれど、あなたが帰ってきた3日後に各国の支配者たちを集めた国家会議が行われたらしいのよ。その会議の内容は、勇者リアの取り扱いについて。あなたの強さを見たゼリア皇国があまりの強さに驚いたようね。本来、あなたが結んできた条約のおかげでこの国に不利益なことはできないようになっているのだけれど、ほかの国の王族や皇族がかかわってくると、二国間の条約ってあんまり意味がないのよ。それで世界中を巻き込んだ国家会議が行われたの。そこで決まったことが

【クヌム王国以外は勇者リアを勇者として認めず、世界の脅威として認める。】

というものらしいわ。わたしも王からの言伝を預かっただけだからそれ以上のことは分からないけど、今後は国境を跨ぐことはできないと考えておきなさい。あなたの事だからほかの国を全部相手にしても勝てるのかもしれないけどそんなことをしたら、魔王に世界を統一しようとしている、もしくは世界を破壊しようとしているとみられてあなたと魔王で戦いになる可能性もあるから。改めて言わせてもらうけど、万が一にも魔王とは戦わないように。あなたが勝って魔王になられでもしたら、それこそこの世界の終わりだから。」


リーンはそこまで一息に話した。あまりにスケールの大きい話に呆然と聞いていたリアだが、一応返事をしておく。


「はい、わかりました。万が一魔王になっても人間を襲いたくはないですけど、自我があるのかさえ分かりませんからね。」


「そんな冗談はやめてちょうだい。もしあなたが魔王になってもこの町の総力を挙げて倒してあげるわ。」


二人ともに軽口をたたく。あくまでもクヌム王国にいる限りは他の国が戦争でも仕掛けてこない限りは戦いになることはないので大丈夫だとリーンは考えていた。

しかしリアは違った。彼女のこの時の感情を一言で表すと歓喜だった。


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