6話 災いの前兆
リアの前世の男は学生時代、ファンタジー物のアニメが好きでかなりの作品数見ていたのだ。その記憶のおかげでリアには卓越した戦闘センスがあるのだ。
その後は、雷を目撃した村の大人たちが駆けつけてきたので、いろいろと大変なことになりそうだったので大人たちが来る前にゴブリンの死体を木の陰に隠したり、大人たちに魔力が暴走して雷を落としてしまったと嘘の言い訳をするなど色々大変だった。
その話はリアの両親にも伝わり、とても心配された。しかし、嘘をついたままにしておくのも都合が悪かったので、両親には真実を話すことにした。
「パパ、ママ」
「なに、リア?」
「本当は魔力が暴走したんじゃなくて、ゴブリンに襲われたから雷を使って倒しただけなんだ。」
これには両親ともに顔をしかめる。父はゴブリンがあの丘にいたということは村の中にモンスターが入ってきてもおかしくないという懸念、母は、雷を起こせる魔法は、すべてが上級魔法であるのにそれをリアが使えることに対してである。先に口を開いたのは父のアランだった。
「ゴブリンがいたというのは本当か?」
「本当だよ。丘の上の期の近くに死体が置いてあるよ。」
「数は?」
「4体」
そこで両親は二人そろって驚愕の声を上げた。まだ10歳の娘が中堅冒険者が苦戦するレベルのゴブリンを相手取って一人で倒したというのだ。しかも、そんなところに4体ものゴブリンがいるとなれば村も安全とは言えない。そこで今度は母親のリリスが口を開いた。
「使った魔法は?」
「コールサンダーだよ。」
リアも「マリオネットネイチャー」がとてつもない代物であることは分かっているので雷を操る魔法で一番低位のものを使ったということにしたのだ。
「もうそんなすごい魔法まで使えるのね!リアはすごいわねぇ~」
母が頭をなでながらほめてくれる。父は魔法についてあまりわからないのか黙ったままだ。
その後も今日あったことを両親に話し、その日は眠りについた。
次の日、目覚めると普段は仕事に行っていていないはずのアランがまだ家にいた。
「パパ、今日はお仕事に行かなくていいの?」
「あぁ。その代わり、昨日言ってたゴブリンの死体を見せてほしいから今日はパパとママもリアについて行っていいかな?」
「みんなでお出かけするの?やったぁ!」
嬉しそうにはしゃぐリアとそれを優しく見守るアランとリリス。それは誰が見ても幸せな家庭その物だろう。ゴブリンの死体などといった物騒な言葉さえなければ……