42話 天界と悪魔の禁呪
コボルトを倒したリアはその場で残りの禁呪2つが出るまでスキル{賭博}を使い続け、その階層のエリアボスのいる部屋へと向かった。
エリアボスのもとへとたどり着くと、音にもならない声で咆哮しながらドラゴンゾンビが襲い掛かってきた。
ドラゴンゾンビには物理攻撃が一切効かず、魔法で攻撃してもかなりの再生能力を持っている。その分攻撃手段に乏しく動きも遅いのでBランク相当とされているモンスターだ。
その姿をとらえたリアは迷わず禁呪を使用した。
「禁呪【天界の裁き】」
そうリアが唱えるとドラゴンゾンビは苦しみながら消滅した。
この禁呪【天界の裁き】は、対象にした存在が邪なる存在ならば消滅させ、それ以外の存在ならばHPとMPを全回復する効果を持っている魔法だ。攻撃にも支援にも使うことができる素晴らしい代物なのだ。
あっさりとドラゴンゾンビを倒してしまったリアはすぐに次の階層へと向かった。次の階層は異常に通路が広く、高さは10メートルもあるようだった。
そこでリアはワイバーンと遭遇した。ワイバーンは空を飛びつつ、ブレス攻撃を仕掛けてくる厄介な敵で、魔法も物理攻撃も基本的にその機動力でかわされてしまい攻撃を当てること自体困難な相手である。
しかし、リアは高速で飛んでくるワイバーンに怯むこともなく
「禁呪【悪魔の呪い】」
そう唱えた。それと同時にワイバーンを黒い瘴気が包み込んだ。しかし、ワイバーンはかなり飛行速度を落としてリアに襲い掛かってきた。リアにとっては想定内だったのでそれをさっそうとかわし、5分ほどリアはワイバーンの攻撃をかわし続けた。しだいにワイバーンの動きが遅くなり、ついには地に伏して動かなくなってしまった。そのままワイバーンは徐々に弱り討伐されたのだった。
今回リアが使った禁呪【悪魔の呪い】は相手の身体能力を50%に制限し、それから徐々に力を奪われ、5分もたてば力尽きて動けなくなり、10分以内に確実に死に至るというものだ。魔法への耐性などで防ぐことはできるが、解呪することはできないという当たれば勝ちのとてつもないチート魔法である。
それを食らった者はこの世で最大の苦痛を与えられながら死に至ると言われており、残虐性の高い魔法である。
リアは、ワイバーンに悪いことをしたと少し反省しながら最下層へ向かっていったのだった。