40話 魔法を創ろう
次の日、リアは朝から冒険者ギルドに来ていた。目的はダンジョンに潜ることだ。ダンジョンに潜らずともしばらくはお金に困らないのだが試したいことがあったのだ。
「ダンジョンに潜りたいんですけど、ほかの冒険者が一番少ないダンジョンってどこですか?」
「それでしたら少しモンスターは強いですが、アルグダンジョンはどうでしょうか?アルグダンジョンはモンスターを倒してもアイテムなどが一切手に入らないためほかの冒険者は一切入ってきませんよ」
「ではそこに行きたいので許可証の発行をお願いします。」
「はい、かしこまりました。少々お待ちください。」
ダンジョン受付の受付嬢はそういって後ろにある棚の中から一枚の紙を取り出した。
「ダンジョンに入る際にこの紙を持っていないとギルドが設置した魔道具により中へ入れないのでご注意ください。」
「分かりました、ありがとうございます。あと、ギルドマスターに私がアルグダンジョンに行くことを伝えてもらってもいいですか?」
「分かりました。」
受付嬢たちの中でリアのことを知らない人は一人もいないのである。それもそのはず、彼女らはBランク以上の冒険者の顔と名前を覚えるように厳しく言われているのである。そうでないと緊急時にどの人物を探しているのかがわからず手間取ってしまうからである。
それはともかく、リアはアルグダンジョンへと向かうことにした。
移動も面倒くさいので、スキル{創造神}を使って転移魔法を作ることにした。
「スキル創造神」
リアが小声でそうつぶやくと彼女の視界にだけ画面のようなものが見えるようになる。そこで作りたいものや魔法を思い浮かべるだけで簡単にできてしまうのである。
(転移魔法【テレポート】:座標指定なし、声に出して宣言した位置に自動的に転移する)
といった感じである。
そんな風に魔法を完成させたリアだが一つ問題が起きた。他人にこれを見られるのは非常にまずいのである。行きは人のいないところで使えばいいだけだが、帰りは場所を言葉で指定のため、基本的に人の多いところに飛ばされてしまうだろう。それなら人から見えなければいいと考えたリアは
「スキル創造神」
(透明化魔法【クリア】:対象にした物質を透明にする、効果時間は3分)
といった具合に自分の使いやすいように魔法を作ったリアは、町の門を出て人目のないところまで来ると
「テレポート:アルグダンジョン」
そう唱えると視界が光で閉ざされ次にリアが目にしたのはまるで洞穴のようなダンジョンの入り口だった。




