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33話 クヌム王国

1週間後、リアはキルスを治める城主の館にいた。その大広間に手跪いているリア。その相手はこの国の国王であるメルギスである。なぜ、王都でもないこの町にそのような人物がいるのか?それは5日前に遡る。


「国王メルギス様!キルスのギルドマスターより勇者が誕生したと伝達がありました!」


そういって王の鎮座する玉座の間に飛び込んできたのは一人の国家騎士だった。普段ならばこのような行動は無礼であるとされ、死刑に当たる行為である。しかし、今回は誰もそれを止めず、責めることをしなかった。なぜならば勇者の誕生という国家単位に収まるものではなく、世界の存亡がかかったような情報がもたらされたのだから。


「それは誠か?」


「はい。間違いございません。こちらが勇者誕生の言伝とともに受け取った封書であります。」


「読み上げろ」


「はっ。

国王メルギス様、我が町のギルドに登録しようとした少女が明らかに異端で、勇者の素質を持つものである疑いが大いにございますため、ご報告申し上げます。彼女は単独で極大魔法を発動させ、アダマンタイトゴーレムを撃破したとの報告を受けています。証拠となるアダマンタイトゴーレムの残骸の一部も国に納めさせていただきます。この封書の到着の翌日には王城に届くようにお送りいたします。そして突然で大変な府警であるのは重々承知のうえで申し上げます。一度我が町の領主の館にてそのものとお目通りを願えないでしょうか?勇者に足る力を持つならば勇者として認定しなければ他国より反感を買ってしまいます。よき返事をいただけることを祈っています。 キルスギルドマスター リーン」


「うむ。至急騎士団を集めるがいい。明日の朝には出発するぞ。そして、そこのお前。」


そういって王は伝令を伝えに来た騎士を指さした。


「すぐに返事を書くので早馬にてそれをキルスのギルドマスターに伝えるのだ。」


「承知いたしました。」


「それでは各々準備にかかれ」


王がそう言うと騎士たちはいっせいに散っていった。

玉座の間に残されたのは王と、その側近の二人。側近が


「魔王を倒しても100代目の魔王とならなければよろしいのですが……」


そういうと、


「アダマンタイトゴーレムを単独で倒した化け物じゃぞ。そんな奴が魔王になってしまっては人類はすぐに滅ぼされてしまう。今の魔王はなぜか人類を襲う気配がない。魔王側の動向を探りながらしばらく様子を見るべきであろうな。その小娘がどれほどの力を持っているのかこの{神眼}で見てみるとしよう。」


この国は英雄王と呼ばれた人物が起こした国で、もともとあった国が魔王によって滅ぼされ、人民が皆殺しにあいそうなところを初代の王が撃退したそうだ。実力は拮抗していて、魔王側も分が悪いと判断したのか退散したのだった。そして、残された民たちを救うために起こされたのがこの国【クヌム王国】なのだ。

初代王の名前がクヌムだったのでこの名になったそうだ。そして、王としての役割はクヌムの家系の人物が引き継いでおり、クヌムの力の一つである{神眼}がそれにあたる。この眼を持つものは見たものの力のすべてを把握できる、この世界最高クラスの鑑定ができるスキルである。

そして、歴代の勇者は、クヌム王国が誕生してからというものほとんどがこの国から生まれている。なぜならば、他国では勇者の素質を持つものが生まれてもその才能が埋もれてしまいがちであるが、この国では異端と判断されると即座に王によって鑑定され、勇者と認定されるからである。


そんなこんなで、王がキルスを訪問することが決定し、リアは領主の屋敷に呼び出されたのである。


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