319話 デザク王国
ファミスも思ったより大したことなかったね。ルイあたりに手合わせしてもらおうかな。もちろん魔法、スキル未使用で。彼ならそのハンデだけで私と渡り合うことができるだけの技量がある。まぁ、今である必要はないかな。こっちから西方諸国連合に攻め込むまであと20日だし、できることはやっておかないと。私が西方諸国の件を片付け終わるのと、南北の国をめぐってる組が交渉を終えるのが大体同じくらいになりそうだし、私もさっさと片付けれるようできることはやっておかないとね。
でも、どうしようかな。西方諸国を滅ぼしてしまいたいけど、それだと、ほかの国の人々からの恐れを買ってしまう。できるだけ、穏便に済ませたいんだよね。まぁ、穏便に済むならもう解決してるだろうけど。
相手に私の力を見せ詰める目的の魔法が必要かな。それなら広範囲の精神攻撃が有効かな。精神攻撃の威力を抑えれば気絶するだけで済ませることもできるし、他国に対してはそれだけの軍事力を持ちつつ、人を殺さないということをアピールできるだろうし。
そうなると、精神攻撃の威力は最小にして威力を代償に範囲を広げる。これがちょうどいいかな。一国の領土を覆えるほどの広範囲攻撃が出来そうだ。もちろん、人間以上の種族に関しては気絶させることもできない。相手次第では意味をなさないけど、それでも人間の一般兵たちは傷つけずに無力化できる。精神攻撃は魔法耐性を与える防具が意味をなさないから確実に攻撃を叩き込めるとても便利なものだ。まぁ、それを扱う技量がそれだけ必要なのだけれど。
魔法に関しても決まったしあとは当日を待つだけなんだよな。特にすることもないしどうしようかな。
「リア様、少しよろしいでしょうか?」
「うわっ、ビックリした。なんだハンゾウか。驚かさないでよ。」
「申し訳ありません。現在、アラン様に対応していただいている国に関してなのですが、少し問題が発生しまして。」
「問題?」
「はい。私では対処できないのと、相手が悪態をついており、アラン様も少しご機嫌がよろしくないので。」
「なるほどね。わかったわ。私はリーンたちに連絡してから転移で向かうからあなたはスキルで戻って。」
「かしこまりました。それではまた後程。」
(リーン、ちょっと問題起こったみたいだから北方国家に向かうね。)
(わかったわ。行ってらっしゃい。)
私はハンゾウに支持された場所に転移した。そこにはお父さんもいて、ハンゾウも既に待機していた。
「リア、わざわざ呼んですまんな。ちょっと相手の出方がきな臭いんだ。」
「詳細を聞いてもいい?」
アランとハンゾウの話を要約するとこうだ。
今私たちがいるここはデザク王国という国で、国王との面談は叶ったらしいのだが、どうにも上の空といった感じだったらしい。ただ、ハンゾウが感知できていないということは精神操作の類ではない可能性が高い。なにかほかに原因があるのだろう。国王がそういう状況なため、大臣と具体的な話をしたらしいのだけれど、大臣は何をするにも魔王との面会を最低条件にするといって聞かないらしい。それに明らかにこちらを見下したような態度をとってきたとのことだ。これは、西方諸国とつながっている、もしくは何か別の思惑があると考えるのが自然だろう。
「状況は分かった。私が出るよ。それに対する対応次第ってところかな。ハンゾウ、私が今から行くってことで話をつけてきて。」
「御意。」
国王に何かしらの魔法やスキルが施されているなら、それをどうにかしないとだね。現状北方国家は最低限不可侵条約を結べているらしいし、お父さんとハンゾウで苦戦するってことは相当だね。特にハンゾウは外交に慣れてるし。
「それじゃ私たちも行こう。」
「そうだな。相手の出方次第でどう動くつもりなんだ?」
「下手なことはできないのが現状なんだよね。私は人間国家を恐怖で従えたいわけじゃない。だからできるだけ国を滅ぼすようなことは避けたい。」
「リアならそう言うよな。それなら俺はそれを最大限サポートするまでだ。」
「うん!お願いねお父さん!」
「任せとけ。俺にできることならなんだってやってやるぜ!」




