313話 こんどこそ
ブラフマーはこちらが再びスキルを使用可能になっていることを知らない。状況的には互角。
私とリカはブラフマーの攻撃を受けきれずもろに受ければ死ぬものの、スキルの使用が可能。ブラフマーは余力はあるものの、スキルの使用、鑑定や結界などの魔法が使用不可能。
どちらも余裕があるとは言えない。それでもスキルが使用できるかできないかの差は大きい。
今のブラフマーの攻撃はほとんどが高威力の魔法、もしくは肉弾戦だ。スキルの効果を複合させれば防ぎきることができる。
{次元断裂}を最大威力で使用したことでスキル{無限無法者}に新たな権能が追加されている。それは{空間断裂}。
次元のほうが空間よりも小さな分類にある。ただ、格で言えば上位に当たる。つまりこれは{次元断裂}の空間版。次元断裂を空間内で起こすことができる。つまりほかの世界を巻き込む心配がない。これなら結界を張らなくてもいいのでより便利に使うことができる。
「私が勝ちますよ。あなたは強い。それでも私、いや私たちの勝利は揺るがない。あなたの攻撃は私に届かない!」
{空間断裂}を攻撃との間に発生させることで相手の攻撃の威力を低減することができている。その程度の火力なら自動的に回復するHP量の範囲内だけど、ブラフマーがそれに気づいてしまったら一気に窮地に立たされる。
「なぜ俺の攻撃を受けて生きているのかはわからんが、俺に対して大したダメージを与えられていないのも確かだ。その調子ではお前の方が先に消耗して死ぬだろう。」
「そうだね。それでもみんなが信じて帰りを待っていてくれるんだから倒させてもらうよ。魔王だけど、主人公らしいことしたいもん。」
「そうか。それでも貴様は死ぬ。俺を倒せるというならやってみるがいい!」
やばい会話してて油断した。接近しての攻撃!回避できない。
({空間断裂})
空間が裂け、攻撃が無効化される。リカが助けてくれたのか。
(ごめん。こっちがスキル使えることに気づかれた。)
(仕方ないよ。それじゃ隠してる意味ないし、2人で戦おうか。)
分身を創り出し、そこにリカの意識を移植する。
「気づいたようなのでもう隠さなくていいですよね。」
「あぁ、まさかスキルが再度使用可能になっているとは思わなかった。なぜだ!{次元断裂}の種にしたはずだろう」
「私のスキルはね。」
「誰が私のスキルも組み込んだって言った?」
「まさか、スキルのコピーだと。そんなことが許されるわけがないだろう!」
気が付いてないみたいだね。私たちが{次元断裂}と{空間断裂}を使用できることに。さっさと叩き込んでみようか。
「{次元断裂}」
「《反撃》」
なるほど。魔力による攻撃を跳ね返す技能的な何かかな?これはなかなか厄介だね。
「もう貴様らに手加減はしない。全力で殺しにかかってやる!」
「それはどうも。でももう遅いかもね。あなたがアーツを使えるように私たちも技を使えるんだよ!行くよリカ」
「準備できてるよ。リア」
「「《重複次元空間断裂》!!!!!!!!」」




