306話 決戦~リーンの戦い~
リアも転移したし、私たちは頑張って時間を稼がないとね。
「全員神器を装備して前衛組は突撃、後衛組は前衛組のサポート、ほかは自分で判断して行動開始!」
今回は私が指揮を任された。リアも無茶なこと言うよね。
「全体の指揮はリーンがとってね。できるだけこっちの被害を最小限に」
だなんて。さすがに大変なんだけど。リアを相手にしているようなものだものね。相手の顔は四方に4つ。つまり意識が4つある可能性も考えなければいけない。それに死角がない。大変な戦いになると思うけど、リアを信じて戦うしかない。気になるのは相手の4本の手の内3つに握られている武器。神器で間違いないかな。鑑定できればいいんだけど、阻害されるから能力がわからないまま闘わないといけないのはきつい。
それにリアは【創造神】が作った神器を3つ所持していて、【創造神】が3つ所持している。全部で7つあるはずだから1つ足りない。リアは全部合体させるスキルがあるって言ってたけど、もう一つがないと合体出来ないだろうし、これは帰ってきてからもかなり大変かもね。
今はとにかく【創造神】の攻撃をいなしていかないと。今のところ接近戦を仕掛けているオグレス、カイン、ルイ、アランでいなすことができてるかな。というより戦いを楽しんでるみたいだね。そのまま楽しんでもらってるうちにリアが帰ってきてくれればいいけど。
あの4人に任せっきりだといつ均衡が崩れるかわからないし、私も動きましょう。私があいつにできる攻撃は魔法と神器による刺突攻撃。まぁ、後者の方が有効だろうしそっちにしようかしら。
それじゃ行きましょうか。魔法の詠唱をしてるみたいだし、その顔めがけてAGIを可能な限り上昇させて一気に突く!
鼻目掛けての突進は【創造神】が少し動いたから頬に命中した。及第点かしら。これでどのくらい効いてるかによるのよね。
おや?石みたいな感じがする。本当にこれが本体なのかしら?もしかして本体はこれを動かしてるだけでこの中にいるとかそんな感じかも。現に、私の攻撃で正面の顔は粉々に砕けている。それに意味がないだろうと発動させてなかった魔力探知の魔法に反応がある。本体の魔力が全体に流れずに腹の位置でたまっている。
「みんな!!多分これ本体じゃない!本体はこの中だ!顔が脆いからそれを中心に攻撃を叩き込んで!!」
「了解!!!俺に任せとけ!!」
アラン!頼もしいわね。人間時代も頼もしかったけれど、剣の腕だけで見ても当時の数倍強いでしょうし。攻撃に特化したステータス。彼なら一撃で破壊できるはず。
「オグレス達、いったんこいつから離れろ!」
私も離れた方がいいかしらね。多分大技を繰り出すから巻き込まないようにしたいのね。オグレスはAGIがそんなにだったはずなので後衛と同じ位置まで転移させる。
「アランお願い!」
「任されたぜ!行くぞ俺の新技!《振斬火炎剣》!!!」
スキルの効果で属性付与をした攻撃!しかもそれに自身の剣技《振斬剣》に乗せることでさらに効果を増している!しかも無限の魔力を持つ剣だから属性付与に関してもどこまでも温度を上げることができる。つまり、今あの剣の温度は岩をも溶かすことができるほどに高温になっている。あれが本体でなく本体によって生み出されたゴーレムやその他の何かならさすがに壊れるはず。
「まずは左!」
アランが斬りつけた位置から業火が広がり、顔が溶けてしまった。さすがの火力だ。
「次に背面、さらに右!!!!」
すごい。とてつもない速さで全部落としてしまった。私の本気の刺突でやっと落とせるレベルなのに。そんなアランがいったん退避してくる。
「さすがね。近接は任せるわ。」
「あぁ、リーンは魔法戦を頼むぞ!」
「えぇ、みんな相手が出てきたわよ!気を引き締めて!」
相手の体は顔を失ったことで崩壊し、その腹の位置にいた何者かが出てきた。人間の子供といったところか。ただ、その不気味さは異常だ。見た目はただの人間。
青年、いや少年といった方が正しいくらい幼い。リアの身体年齢と同じくらいなんじゃない?でも一つだけ確信を持って言えることがある。こいつこそが【創造神】だ!
「よくあれを倒せたな。あれは僕のお気に入りだったんだけどね。自己紹介がまだだったね。ぼくは究極【創造神】ブラフマーだ。みんなのことは鑑定で分かってるからいいよ。」
「おしゃべりが好きなようね。私たちは敵だっていうのに。」
「あれを砕けたやつには名乗ることにしてるんだよ。それじゃ続きを始めようか。本体で戦うのはいつぶりかな?すごく楽しみだからせいぜい退屈させないでよ。」
やばい!ただ魔力を圧縮してこちらに撃ち出しただけ。ただそれだけのはずなのに明らかに異常なほどの威力だ。みんな強風程度にしか感じていなくて、まだ立っていられるけど、これ以上の威力だとやばい!
「これは立ってられるんだ。それじゃあ、ちょっとだけ強めの技を打つから頑張って耐えてね。」
!!!!!!!!
さっき異常にヤバイ!あれは魔力をためた空間に極限の圧力を加えて結晶化し、それをさらに粒子化、それを撃ち出そうとしている。その強烈さの分、一度何かしらの物に命中すれば消滅するけれど、あれだけ広範囲だと、全員に命中してしまう。原理は分かるけれど、あれに魔法の障壁は機能しない。あの系統の魔力を直接ぶつける者は魔力で構成された魔法をすべて強制解除する性質がある!
これは死人が出るかも・・・・・それによけられないし逃げられない。
やばい!!!!撃ちだされてしまう。




