304話 仲間
それから3日間、私は休養に当てた。何かしらの方法でみんなのステータス限界を突破、もしくは概念突破状態にはできるかもしれないけれど、そのやり方の検討もつかない。だから、体は動かしつつ、できる限りこれまでの疲れを癒した。
これまで少し働きすぎだった感はある。それにいろんなことがあった。前世の記憶を取り戻してからアランとリリスより強くなって、キルスについて割とすぐに勇者になった。それからいろんな強敵を倒してついには魔王に。
そしてさらに世界を創って創造神になって、いろんな世界を回って強くなった。ちょっと大変な世界もあったし、この世界では10年が経っていたけれどそれも今ではいい思い出だ。
そこからはほとんど大変だった思い出かな?【創造神】の配下や、本体が乗り移った相手と戦ったり、みんなの強化がいろいろと大変だったり、まさかのリーンとアランが私と一緒に戦うことになって2人とも神になったりと。たくさんのことを経てここまで来た!この世界で私が生まれてからの二十数年。肉体年齢も精神年齢も10歳を過ぎたころから成長は止まっているから年齢は10歳でいいのかな?まぁ、それは今どうでもいい。
前世も合わせると60年近くにもなる人生経験。ほかのみんながどのくらいかわからないけれど、私にはそれだけの年月があるし、ここ10年以上はこの時のために準備を重ねて強くなってきた。
絶対に誰も失わずに【創造神】を倒す!!
「みんな、今から転移するけど準備は大丈夫?」
「おぅ。」
アラン。私のお父さん!この中だと一番一緒にいた時間が長いかな。一番信頼しているし、頼もしい。
「えぇ。」
リーン。お父さんの次に長く一緒にいるかな。実力もさることながら私とは話が合うし、人間時代からとても信頼している親友の一人だ。
「はい。」
アンチデューン。私の最初の配下。私からしたらもっと砕けた感じで接してほしいけど、こういう感じも悪くないし、アンチデューンはこのまじめなところがいいんだよね。
「あぁ。」
カイン。アンチデューンの次に魔王軍に入ったっけ。不死の体でどんなこともあっさりとやってのけてしまう。人間のころからお世話になっていた私にとって恩人ともいえる人の一人だ。
「大丈夫だよー」
ディア。はじめはもっと下の位にいたけれど、偶然見つけた強者だったんだよね。今では三魔将として頑張ってくれてるし、この砕けた感じが私の心を癒してくれるし、フレンドリーな感じが好きだ。
「はい。」
オグレス。四天王としてこれまでよく頑張ってくれている。本人は近接戦が得意な中、かなりの数の魔法使いがいる軍団をうまくまとめ上げてくれている。
「はい。」
シャナ。急に見た目の話になるけど、すごく美人だよね。人型の妖狐は美形が多いらしいけど、その中でもかなり美しい方だと思う。それにちゃんと強いしね。期待しているうちの一人だ。
「はい。」
エレン。今回の戦いではサポート役だけど、今回みたいに格上が相手じゃなくてもっと雑魚が集まった大規模な戦争とかになればもっと活躍できるかな。魔法の腕は確かだし、種族的にもそれが理にかなってるしね。多分一撃で一国を滅ぼせるんじゃないかな?
「はい。」
最後にルイ。この世界でもかなり希少な種族ハーフデーモンとして生まれた。天使と悪魔、両方の力を持ち、機転の利いた戦いが得意だ。私が魔法を縛って戦ったら負けるくらいだし、その先頭における熟練度もかなりのものだ。この戦いが終わったらもっと戦ってみたいかな。
「みんなそれじゃあ行くよ!{時空間集団転移}」
それっぽいスキル名をいったれど、あくまでもこれはスキル{究極神}の権能の一つだ。転移がスムーズに行える。集団個人どちらも自在だ。
みんな揃って戦うのって初めてかも。【リアの世界】の時間の進みは極限まで早くしてある。これで準備万端だ。全員が転移し、目の前には大量の偉業の姿になってしまった元人間と、最奥に明らかに他の者と一線を画した力と巨体を持つ者がいた。
その者の名は「究極【創造神】ブラフマー」。ほかの者のステータスの表示は【創造神】ではなく、創造神だ。つまり、支配下にある者は【創造神】ではなくただの創造神になってしまうということか。
ブラフマーは巨体に加え、四方を向いた4つの顔、4本の腕を持ち、座禅を組んだ状態で浮かんでいる。
何でアジア的なのかはわからないけれど、そんなのは今どうでもいい。
「みんな後は頼んだよ!」
私は口に出さずスキルを起動し、敵の配下、その数1万の創造神たちを【リアの世界】に転移させた。そして私自身が転移する前に味方全員を対象にした魔法通話で
(アンチデューン、カイン、ディア、オグレス、シャナ、エレン、ルイ、そしてリーンにお父さん。私は行くからみんな頑張ってね!)
そう伝えた。
そして私は【リアの世界】へと転移した。




