30話 報告
「さぁ、3人を起こしてキルスに向かおうか。徹夜になってしまったけど大丈夫かい?」
「はい!」
「そうか。では3人を起こそうか。あと、何か思い悩むことや困るようなことがあったら僕を頼るといい。必ず力になって見せるから。」
「ありがとうございます!」
そんな会話を交わした後、キルスはパーティメンバーを起こし皆でキルスへと帰ったのであった。
キルスへ到着すると、
「みんなは自由行動でいいよ。僕はギルドに報告に行かないといけないから。」
「「「りょうかい」」」
3人がだるそうに返事をする。もはやロインは最初にリアへ見せた笑顔など一切ない。もはや別人だ。
「それじゃぁ行こうか。」
カインにそう言われ、リアはその後をつけていく。町の人々がこちらを見ている。やはりAランクなだけあってカインは有名人なようだ。
「詳しい説明をお願いします」
ギルドに入るとすぐにカインと二人ギルマスの部屋に呼ばれて威圧感のある態度でこういわれた。
「ええと、リアを含めた『獅子の牙』の5人でダンジョンに潜入。その後リアが一人で1時間かけ8層に到達し、3時間以内に10層まで攻略しました。」
「いや普通に考えてありえないでしょ。どうやったら1時間で8層に到達できるのよ。」
「身体強化の魔法とソニックムーブで速度と力をあげて、ソリに4人を乗せて引っ張っていきました。」
「馬車かよ……。それで、8層以降の構造はどうなっていたの?」
「ええと、8層はゴブリンが大量に出現しました。エリアボスはゴブリンキングでエリアボスの部屋には大量のゴブリンたちも控えていました。
9層は悪魔たちがひしめくエリアでした。下位の者から上位のものまでいて、エリアボスはアークデーモンでした。」
ここまで行ったところでカインの顔が青ざめる。自分が眠っている間にそんな恐ろしい怪物と近くで戦っていたのだから当然である。そんなことを気にせずリアは続ける。
「そして10層には通常のモンスターはおらずダンジョンボスはアダマンタイトゴーレムで……」
「アダマンタイトですってぇ!!!そんな天災級のモンスターをどうやって倒したっていうの?っていうか本当にアダマンタイトゴーレムなの?」
そうギルマスが言ったところでカインがギルマスにアダマンタイトゴーレムの残骸を差し出した。
「これが証拠です。そして、……」
カインがアダマンタイトゴーレムをどうやって倒したのか事細かに説明を始めた。それを聞き終えたころにはギルマスの顔から生気が抜けていた。
「とりあえず分かったわ。カインは帰っていいわよ。」
「はい。失礼いたします。」
そういってカインが部屋から出ていくと、
「リア、あなた極大魔法は使えないはずじゃないの。いくらあなたの魔力が多くても極大魔力の発動には足りないでしょ。そもそも人間が制御していい代物じゃないのよ極大魔法は」
「ええと、スキル{賭博}の効果で魔力量を増やしたり、極大魔法を使用可能にしたりできるんです。」
「そうなのね。もういいわ。じゃあ次にダンジョンで発見したものをすべて出してもらいましょうか。所有権はあなたにあるけど、ギルドでもどんなものが出てきたのか把握しておく必要があるから。」
「はい。金貨50枚とこの指輪です。」
「それだけ?」
「はい。」
「ちなみにその指輪の効果は?」
「スキルや魔法使用時の自分に不利な効果をすべて無効化します。」
「それはまたとんでもないものね。わかったわ。とりあえず、ここまでとてつもないとは思ってなかったから今日中にランクはあげられないわ。1週間後に受付に言ってちょうだい。」
「わかりました。失礼します。」
そういってリアもギルマスの部屋をあとにした。