295話 もう一人の私
アンチデューンたちの進化が始まって3日が経過した。現状何も変わったことはない。世界の創造もつつがなく進んでいる。リーンの方も順調に世界の数を増やしている。
私は今更ながら、概念突破の上に何かないかを模索している。概念突破自体が概念を突破してステータスが自在に操作できるものだから、それ以上はないはずだけど、何か違和感を感じている。確かに上限なく上昇させられる感覚はあるのだけれど、そこに数字という概念は存在していないことになる。数字で表すことができる桁内での話ではないのだ。上限なく上げることはできるけど、上限が存在する。自分でも何を言っているかわからないけれど、それ以上ない力を発揮したときに上限を感じさせる。ただ、その上限自体もおそらく前世の地球の地面を軽く殴っただけで粉々にできるほどの威力だ。もはや何なのかがわからない。
それこそ概念的、哲学的な話になってくる気がする。そもそもステータスとは何なのか?そういった話になってくる。ステータスという概念に縛られているのにそれは果たして本当に概念突破したといえるんだろうか?
ごちゃごちゃ考えてもきりがないし、もう考えるのやめようかな。こういったことについてどうにか知る方法ってないのかな?研究と考察は続けたいけど、今はアンチデューンとディアの守りの方にも気を割き続けないといけないから大変なんだよね。
分身には魂が宿っていないからこういうことを考えさせても無駄だし、警備の方も、魔法を発動させたのが私だから、本体でしか感知できないんだよね。
何か新しい権能を開花させたいところだけど、今の悩みを解決できてこの後の戦いでも邪魔にならないスキル。できれば有用なもの。何かあるかな?
そうだ!前世のアニメで見たあれを試してみようかな。もしだめだったら発動させなければいいだけだし。
スキル効果をいじってっと。
できた!スキル{無限無法者}に新しい権能を付与できた。その名も{並列意志}。自分の中にもう一つ意志を生まれさせる能力だ。詠唱が必要な魔法の同時詠唱や、複合魔法をさらに複合して使用することもできるはず。それにこれはもう一人の私だから私と同じ志向を持つし意識・記憶の共有もできる。{並列意志}を分身体に移せばもう一人の私を創ることもできるはず!
(聞こえるかい?本物の私。)
(聞こえてるよ。もう一人の私。あなたは並列意志とは言え私なんだから、本当の私はやめてよ。)
(それじゃどうしようかな。私の新たに名前を付けてよ。そしたらお互いに名前で呼べるでしょ。)
(おんなじこと考えてた。それじゃあなたの名前はリカ。)
(一文字変えただけか。まぁいいや。それじゃ私はリカ。よろしくねリア)
(よろしくリカ。さっそくで悪いんだけど頼み事いいかな?)
(いいよ。何?)
(今から考え事するから、アンチデューンたちに何か異常があったらすぐに教えて。体の主導権だけは譲渡できないのが残念だけど。魔法に関する権限を譲渡しておくから、それの管理もお願い。私は体をこん睡状態にして意識だけがある世界でいろいろと考えたいから、何か起こったり、アンチデューンたちが目覚めたりしたら昏睡の魔法を解除して起こしてね。)
(頼み事多いけど分かった。私も概念突破に関してはリアと同じで何かまだ隠されてると思うから頑張って解明してね。それじゃ私は譲渡された魔法の管理をしておくね。これって勝手に改造していいやつ?)
(できれば改造はやめて。新しく作る分には好きなだけやっていいから暇だったら魔法とかスキルとか作ってていいよ。私なんだしそういうの好きでしょ?)
(大好きだね。それじゃおやすみ。)
(うん、おやすみ。)
そして私は自分自身の魔法耐性を一瞬だけ0にして昏睡の魔法を自分にかけて魔法耐性を最大まで上昇させる。もちろん書置きは残してるので配下達にはそれで伝わるだろう。そして私の意識は闇の中に飲まれそして気が付くと何もない闇の中にいた。
これが私の意識の中の世界。すべてがない、しかしすべてがある世界。




