294話 進化と【創造神】
お、噂してたら、進化が始まったみたいだね。
「ごめんねリーン。ちょっと急用が出来ちゃった。一緒に来る?」
「急用ってそのアンチデューンたちが神になるってやつ?」
「そう。2人の進化が始まったみたい。」
「何かあった時のために私もついていくわ。【創造神】絡みの問題がもし起こったら厄介だしね。」
「そうだね。じゃあ行こうか。2人にはさっき部屋から出るときにあとで話があるからって言ってアンチデューンの部屋に待機してもらってるから。」
「それじゃあアンチデューンの部屋に行きましょうか。」
「そうだね。行こうか。」
リーンと2人でアンチデューンの部屋に行き、戸を開ける。予想通り2人は倒れており、進化の眠りについていた。見たところ時間加速も施されていないし、数年かかりそうだけれど、1週間で済むように計算して体内時間を加速させる。そして
「【詳細座標転移】」
新たに魔法を創り、その魔法でディアをディアの部屋まで転送する。魔法創造によって創造することで魔法の効果を底上げして転移の座標をより詳細に設定できるようになった。しかし、転移しかできない割に消費魔力が膨大なので使い勝手は悪い。
「ディアも部屋まで送ったし、あとは2人にそれぞれ追加で結界を張れば完了かな。万が一のことがないように対策は万全にしとかないとね。」
「もう終わり?時間の加速と結界だけでいいの?」
「うん。あと1週間もすれば進化が終わると思うよ。体内時間の加速は長めに設定してるけど、2人なら自力で解除できるだろうし。もうすることはないかな。まぁ、【創造神】が干渉してこないとは言い切れないから結界で守るんだけどね。私もかけるけどその上からもう一重結界を張ってくれる?城の結界も合わせて三重にしときたいから」
「わかったわ。」
そしてアンチデューンとディアに結界を張り、何者かの干渉があった場合は物理・魔法いかなる方法でも私が即感じ取れるよう魔法を施した。
「ありがとう、リーン。これであとは待ってれば進化が完了すると思う。私たちにできることはもうないかな。」
「そうね。結界って強度とか効果を最大まで上げると1つ張るだけであんなにも疲れるものなのね。」
「そうだね。私もあのレベルの結界を2連続で張ったのは初めてだから正直疲れたよ。お茶入れるけどいる?」
「もらうわ。ありがとうね。」
「いや、こっちも手伝ってもらったんだし、そのお礼。どうぞ。」
リーンにお茶を出し私は対角に座った。
「そういえばなんで私が結界を張る必要があったの?あなたが2つ張ってもよかったんじゃないの?」
「いや、ちゃんと理由があるんだよ。リーンは結界でどうやって解除するか知ってる?」
「外部から攻撃して破壊する以外に何か方法があるの?」
「今回私たちが張った結界みたいに結界の効果自体に壊すことができない効果が付与されてる結界だってあるでしょ?壊れない結界があるってことはそれを解除する魔法もあるってことなんだよ。」
「魔法で結界は解除できないでしょ?ただでさえ魔法に対する耐性が高いんだから」
「正確には魔法じゃないんだけど、結界っていうのはたとえると、魔力でつくった糸で布を編んでいるような状態でその布で覆うことで内部や外部に影響を及ぼすものだから。その布を破くことはできないけど、外からなら、糸がどんなふうに編まれているかとかはよーく見ればわかるでしょ。その糸を一つずつたどっていって結界に綻びを作るの。そうしたら結界は一気に崩壊するから、それで解除完了。これが一般的に魔族とかの間で使われている技術なんだよね。なれれば一瞬で崩壊させられるけど、この方法だと、結界を構成する魔力の違いが、そのまま綻びの作り方の違いになるから結界を張る人が変わるだけでかなり手間が増えるんだよ。」
「それで私に張らせたのね。」
「そう。まぁ、城を覆う結界の結界攻勢をものすごく複雑にしてあるから多分破られないと思うけどね。万が一の時の結界だね。」
「使わないで済むことを願うしかないわね。」
「そうだね。これが必要になるってことはほとんど負けが確定してるからね。」




