286話 カインはどうやったら強くなれる?
カインは魔法も使用できるだろうけど、確かにこっちの方が効率がいいかもね。ルシファーに関しては魔法耐性がかなり高かったから、物理攻撃で仕留めたのは正解かな。物量でかく乱している間にスキルでのデバフ付与、そこから有効な攻撃の連打か。確かに強いけど、魔法も物理も今のカインのステータスだと【創造神】相手だと心もとないかな。
今のカインのステータスはSTRが5000000、MPは変化がないけどこっちは消費効率が多いから関係ないかな。魔法の威力は込めたMP量に応じて変わるけど、カインの場合は特殊な種族と特殊なスキルを持ってるからか熟練度によって変わるみたい。どれだけ鍛錬を積んだかによって魔法の威力も精度も変わる。今のカインの熟練度だとそこまで高威力にはならなさそうかな。もちろん人間基準だと災害レベルの高威力魔法だけど、私とかリーンからすると正直弱いかなくらい。物理戦闘もそんなにかなって感じだし、どんな神器にしようかな。魔法は鍛錬を積んでもらうとして、物理攻撃に関しては数値が低いし、これを底上げするより、高威力のスキルが付与されてる方がいいかな。
ただ、カインも最近になって想像魔法の核心をつかんだらしく、自在に使いこなせるようになっていた。こういうところへの努力はすごいんだけど、才能の部分が元が人間なこともあって微妙だから、ひたすら鍛えてもらうしかないかな。
想像魔法による転移で戻ってきたカインに今私が思ったことを共有する。
「見事なものだね。物量でかく乱してその間に{不死者の手}でデバフを与えてその隙に高火力での攻撃。戦いなれてる感じがすごいね。」
「あぁ。相手に応じて魔法で攻撃するか殴りつけるかは変わるけどな。」
「うん。ちゃんと見極めれてるのもすごいと思う。ただ、【創造神】相手には通用しないかな。」
「確かにかく乱しようがないだろうしな。」
「それもそんなんだけど、カインの攻撃邪多分全く効果がないんだよね。はっきり言うと威力が足りてない。」
「これでか?正直相当な高威力だと思うんだが。」
「【創造神】は強いからね。カインはどうやったら高威力の魔法を打てるようになるか知ってる?」
「確か魔力を籠めれば込めるほど高威力になるんだよな。ただ、俺の場合、消費効率が優先されて威力が上がらないんだよな。いまは、威力に像魔法で補正をかけてる感じだな。」
「さすが、ちゃんと把握できてるね。でも、不正解かな。」
「何?これ以上ないくらいに正しいことを言ったつもりなんだが。」
「言ってることは何も間違ってないんだけどね。カインはかなり特殊な種族なんだよね。ほかの人たちと比べてもステータス配分がおかしいでしょ?種族固有のスキルも存在していてHP、MP、VIT、RSTのステータスが上昇しない代わりにその他のステータス上昇値が大きい。そしてどんな魔法であってもMP消費1で使用できる。」
「確かにそうだが、それならどうやって魔法の威力を上げるんだ?」
「私が調べて分かったのは熟練度の上昇によって魔法の威力を上昇できるってことかな。普通、熟練度を上げても魔法の発動までの時間が少なくなったり、複合魔法を使うことができるようになったりするくらいなんだけど、カインの場合は違う。アンデッドの上位種族、そのなかでも{MP消費極減}を所持するほどの上位種、つまり支配者階級以上になると魔法の熟練度に応じて魔法の威力が上昇するらしいよ。」
「それで俺はこれまで魔法威力が上がってこなかったのか。物理戦闘で済むことが多いから魔法の使用は極力避けてきたんだよな。」
「そうだね。ってことで、カインに渡す神器はこっちで用意しとくから今から転移させるダンジョンを攻略してきてね。最下層にボスはいないけど、そこにあるボタンを押したら、こっちに戻ってこれるから。結界で隔絶してあるから転移で出ることはできないから注意してね。ダンジョンの構造とか変化があるとかいうのは入り口と、変化が起こる前の階層に立て看板を置いとくから。」
そういいながら私は【リアの世界】にあり、以前自分でも攻略したことのある『ニケダンジョン』の設定を少し変更した。ここならこちらの世界と時間の進みが違うから、どれだけ長く鍛錬を積んでもこちらの数秒でこちらに戻ってこれる。【基軸世界】の1秒で【リアの世界】では11日以上が経過しているので【リアの世界】の1年が【基軸世界】では30秒と少しといったところになる。
モンスターの出現量を増やしたからかなり大変だろうけど、カインならやれるでしょ。それと、カインのみに物理攻撃の禁止の設定もしておいた。
「中では物理攻撃ができないようになってるから頑張って魔法で戦ってね。10年くらいかかるかもだけどクリアはできると思うから。それにカインなら死なないし、多少きつくても勝てるでしょ。」
「おいおい、無茶なこと言うな。確かに強くなりたいけどよ、リアには10年なんて余裕あるのか?」
「それは大丈夫。こっちでは数分しかたってないと思うから。」
「お前の世界での10年か。確かにそこなら鍛錬にはちょうどいいかもな。」
「そっちの朝6時、昼12時、夜7時にはカインの周りにモンスターが入れない結界を張って食事が出てくるようにはしてるから安心して。そういう休養も大事でしょ。」
「気遣いはありがたいが、それ以上に厳しい場所に放り込むつもりなんだろ。まぁ行くけどよ。」
「うん、頑張ってね。戻ってくる頃には神器を準備しとくから。」
「おう!頼むぞ。それじゃ送ってくれ。」
カインにそういわれたので『ニケダンジョン』前まで転送した。説明書きも置いてあるし、時間はかかるかもだけどカインならクリアできるでしょ。




