284話 「ちっそ」と「さんそ」
さてと、【不死鳥】の様子を確認してみようか。目の前にモニターを出してリーンと一緒に見る。
「これはどういうこと?転移させただけで【不死鳥】が苦しそうにしてるけど。」
「この世界には酸素がなくて窒素が充満していて、呼吸ができないんだよ。」
「その「さんそ」とか「ちっそ」っていうのは何?」
「そっか。わからないよね。えっとね呼吸をするとき私たちは空気を吸って吐いてるでしょ。その時に吸ってる空気の中にある酸素っていう物質を体内に取り込んで体内でできた二酸化炭素っていう物質と交換したものを吐き出すの。だから呼吸した後の空気には元の空気を利も酸素が減って二酸化炭素が増えていて、さっき言った窒素っていう物質だけは変化がないの。」
「なんとなくわかったけど、それとこれと何の関係があるの?」
「今はそうでもないかもしれないけど人間の時は呼吸をしなかったら苦しかったでしょ?それは酸素を取り込めないからであって、生き物は生きていくのに酸素を必要としているの。だから酸素のない空間では呼吸ができなくなって、しばらく酸素を取り込めないとそのまま死んじゃうの。超越存在以上に進化してればそんなの関係ないと思うけど。」
「そうなのね。それであいつはステータス的には高いけど超越存在以下の存在だからこのまま死ぬってことね。」
「いや、もしかしたら超越存在以上なのかもしれないから注意は必要だよ。それでも、火が燃えるのにも酸素は必要だからまとってる不死の炎は消えるし簡単に倒せると思うよ。」
「なるほどね。そんな知識この世界では全く知られていないけど、どこで知ったの?」
「それは秘密かな。【創造神】を無事に倒せたら話してもいいけど。」
「それじゃあそれを聞くまでは死ねないし、頑張って【創造神】を倒さないとね。」
「そうだね。とりあえず魔王城の方に戻ろうか。あの世界は強固な結界で守ってるから、出てこれないだろうし。」
「内からも干渉できない結界。さすがね!」
「そうでもないよ、リーンもできるんでしょ。」
「まぁそうだけど、普通に考えたらすごいことに変わりはないじゃない。」
「それはそうだね。それじゃあお互いにすごいってことで。」
「そうね。とりあえず戻りましょっか。」
「そうだね。」
私が転移を発動させ、2人そろって玉座の間に戻った。
「みんな、とりあえず【不死鳥】の対処はしといたから、集まったついでに少し話したいことがあるから聞いて。」
「もう終わったのか。さすが俺の娘だな。それで話っていうのは?」
アランのその発言は少しうざい言い方でイラっと来たが今は抑えておこう。
「対【創造神】に関することなんだけど、今のうちに共有しておこうと思って。【創造神】との決戦の詳細な作戦とか、日時はまだ話せないけど、今決まっていて話せることだけ話しておこうと思って。」
「私は聞いているけど、みんな落ち着いて聞いてね。あとそれを聞いても、冷静にそのあとの話を聞いてちょうだい。じゃないと収拾がつかなくなりそうだから。」
リーンが横からそう言ってくれた。これはありがたい。
「ありがとう、リーン。【創造神】の相手はリーン、アラン、三魔将、四天王でしてもらおうと思ってる。その間に私が雑魚を一掃してそのあと必要な行動に移るから、その時間稼ぎと【創造神】に少しでもダメージを与えておいてほしい。」
「それって、俺たちに死にに行けと言っているのか?」
急にアランが真剣な顔つきでそう聞いてきた。
「もちろん違うよ。みんなにはそれぞれ神器を持たせるし、だれも死なせないよう作戦は練る。それに【創造神】の狙いはあくまでも私、そして多分リーンもだけど、2人だけだから、リーンに気を引いてもらいつつみんなで時間を稼ぐ。私は確実に【創造神】を殺すための策を実行するって感じかな。」
「勝算はどのくらいなのですか?」
今度はアンチデューンだ。やはりみんなこの作戦は詳細も聞けていないし心配なのだろう。
「作戦自体がうまく実行できれば3割、失敗すればほぼ0に近いかな。ただ、私が想定している条件すべてを満たせば限りなく100に近づけることはできると思う。」
「その条件のために今いろいろと動いてるんでしょ?それなら私はリア様を信じてついていくよー!」
ディアはそう言ってくれた。みんなもそれに同意するように頭を縦に振っている。
「それじゃあ、詳細な作戦は伝えられないけど、その時が来るまでに頑張って鍛えてちょうだい。アンチデューン、ディア、リーン以外の2人にはこの後神器を創るから一人ずつ要望とかあれば聞かせて。要望があってもなくても一回戦闘を見せてもらってから作るから闘ってもらうことになるからね。それじゃあいったん解散!一人ずつここに呼ぶから魔法で連絡来たらここにきてね。」




