283話 睡眠を妨げる【不死鳥】
久々に四天王と直接話したかも。全員仰々しく私を出迎えてきて少し気を張っちゃった。ただでさえつかれていたのに、もっと疲れたよ。でも今度こそゆっくり休んでいいはず。今すぐにやらなきゃいけないことはもうないはずだし、
少し働きすぎなのかも。最近はあんまりすることがなくてゆっくりしてる時間が多かったけど、それでも対【創造神】について考えてばかりだったし、もう少し気を楽に持った方がいいのかも。あんまり思い詰めてると何か見逃して負けにつながりかねないし。
とりあえず今日は少し寝よう。さすがにずっと働き通しだったから疲れた。もうちょっと休み休みやりたいけど、【創造神】はできるだけ早く倒したいから、もうしばらくだけ頑張ろうかな。
ベッドに横になった私は吸い込まれるように眠りについた。
誰かに呼ばれた気がして目覚めると、横にハンゾウがいた。
「ハンゾウ?どうしたの?」
「お休み中のところ申し訳ございません。いち早くお伝えした方がいいかと思いまして。巨大な魔獣がこちらへ向けて接近してきています。魔獣は高速で飛行し、あと2時間ほどで魔王城まで到達すると思われます。」
「強さは?」
「私では測りきれませんでした。申し訳ありません。」
「それじゃ私からの指示って伝えてリーンに対処させて。私はもう少し寝るから何かあったらすぐにここにきて起こして。」
「かしこまりました。」
ハンゾウがリーンのところへ向かったのを確認して私はもう一度眠ろうとした。眠い時は眠るに限る。リーンで対処できるだろうし私は寝てても大丈夫でしょ。
そしてしばらく眠った後にまた誰かの呼ぶ声で起こされた。
「リア!起きて。」
「リーン。大丈夫だった?」
「もちろん対処はしてきたけど、それよりも重要なことがあるから、今すぐ幹部たちを全員ここに集めるわよ。」
「四天王は進化の眠りに入ってるから、それ以外の人たちだけで大丈夫だよ。」
「そう。とりあえず集めるから。あなたもすぐに起きて」
「はーい。」
そうして私はリーンにたたき起こされ、三魔将以上のものを集めた緊急会議が行われることになった。基本的な仕切りはリーンがやってくれるらしい。
「今日みんなに集まってもらったのは、さっき私が対処した【不死鳥】について」
「【不死鳥】?」
「えぇ。その名の通り、死ぬことがない、全身に炎をまとっている魔獣の事。とりあえず封印してあるけれど、相手も強いから封印を抜けてしまう可能性もある。」
「それなら私に任せてちょうだい。封印を解いて対処するからリーンもついてきてね。」
「え?相手はあの【不死鳥】よ。本当にどうにかできるの?」
「大丈夫だから。みんなすぐに戻るからここで少し待っててね。」
【不死鳥】とは不死の炎をその身に宿し、不死となった鳥型の魔獣。【創造神】によって生み出され、【創造神】の命令しか聞かない。
それとこれは別の話になるのだけれど、スキルの使用について少しできるようになったことがある。今まではスキルの効果を選んでスキルを口に出し発動させていたけれど、思い浮かべるだけで発動できるようになった。
転移する場所を思い浮かべるだけで転移することができる。それにリーンを巻き込み、リーンに聞いた【不死鳥】を封印した場所まで転移する。
「これだね。ちょっと待ってね。」
スキルの効果を使って新たに世界を創り出す。世界の設定をいろいろといじったので少し時間がかかったけど、疲労感はほぼないかな。今回の世界は今いる【基軸世界】の約1000分の1だから、魔力の消費はそんなになかった。
「おっけー。それじゃあ封印を解いちゃって。」
「本当にどうなっても知らないからね。」
そういいながらも封印を解くリーン。さて、さっさと終わらせてしまおうか。封印が解かれるとほぼ同時に私は【不死鳥】をさっきの世界へ転移させる。それだけでいい。私が転移する必要はない。




