281話 神器と作戦
少し前、神器・エクスカリバーの呪いで動けなくなっていた時の事、私は私の神器を2つ作っていた。一切の素材を使用せず、魔力のみで構築する最強の武器。そんな感じのを目指して作っていた。
一つは〈神魔力弓〉。魔力の矢を打ち出すことができ、使用者の意思によって物理攻撃か魔法攻撃か選ぶことができる。ただし、使用者の魔力を使用して矢を放つので膨大な魔力量を有するものでないと扱うことができない。
つぎに〈神魔力斧〉。こちらは魔力を籠めることで任意の属性を付与した攻撃を行うことができるようになる。こちらも使用者の魔力量が膨大でないと大した効果を発揮できない。
アンチデューンとディアならうまく使ってくれるだろうし、今後新たな神器を作る際の参考にしたい。
と、渡そうと思った時にふと自分の手を見て気が付いた。そこには入手してからずっとつけ続けている〈創造神の指輪〉がきらめいていた。これもあいつが作ったアイテムなんだよね?見たところ神器ではないみたいだけど、【創造神】が作るアイテムに神器以外の者ってあるのかな?それとも、私たちが相手にしようとしている【創造神】ではなく、その配下の【創造神】が作ったものなのかな?まぁ、なんにせよ、もう私には不要なものだし、空間収納にでもしまっておこうかな。
「2人とも、その武器は絶対に誰にも奪われないように。まぁ、2人を所持者にしてるから離れても手元に戻ってくると思うけど。手を離したら消えて、手にしたいと願えば手元に来るようになってるからどんな戦闘スタイルとも組み合わせられて便利だとは思うよ。」
「なるほど。確かにこれは便利ですね。ですが、なぜディアは斧、私は弓なのでしょうか?私たちなら杖の方がよさそうな気がするんですが。」
「その弓と斧は魔力を使用する武器だから、魔法使いにしか使えないんだよね。それもあなたたちみたいに膨大な魔力量を誇らないと魔力がすぐに枯渇するの。アンチデューンは非力だから、地力を底上げしてくれる弓、ディアは肉弾戦も得意だろうから斧。アンチデューンの弓は魔力で矢を構成できるから、矢を携帯する必要がなくて、魔力の矢なのに物理攻撃扱いにもできる。その威力も自由自在。ディアの斧は魔力を籠めると好きな属性を付与して攻撃できる。もちろん申請属性の攻撃にすることもできるし、攻撃力、大きさも魔力次第で自由自在だよ。」
「すごい!さすがリア様だね!一属性を付与できるだけでもすごいのにそれが自由自在なんて。」
「うん。私もかなり良い物ができて満足してるよ。一応使用感とか聞きたいからまた今度どんな感じか聞かせてくれる。あれだったらさっき言ってもらった世界でなら自由にしてもらっていいから。」
「ありがとうございます。」
「ありがとー。リア様!」
2人の反応がここまで違うとそれはそれで面白いね。残りの神器を作るのは2人の意見を聞いてからにしようかな。
さて、とりあえずやらなきゃいけないことは一通り終わったし、少し休もうかな。世界を創り始めてからあんまり休んでなくて疲れたし。誰か話し相手になってくれそうな人いないかな。なんだか人とどうでもいいことを駄弁りたい気分なんだよね。リーンでも呼んでみようかな。
(リーン、今来れる?)
(すぐに行くから待ってて。)
来れるみたい。すぐにドアが開いてリーンが入ってきた。
「リア、どうしたの。私だけを呼び出したみたいだけど。」
「いや、特別用事があるってわけじゃないんだけど、ちょっと話したいなー、と思って。」
「そう。まぁ、私も暇してたからいいけど。」
「よかった。私は組織的なところにあんまりかかわってないから、そういうのも雰囲気だけでも聞いときたかったんだよね。」
「あなたはこういうときまで仕事なのね。本当に冒険者しかしたことないのか疑わしくなるわ。」
リーンが少しあきれながら私が出したお茶をすする。確かにずっと、軍とか対【創造神】のことについてばっかり話してるかも。
「確かにそうかも。でもほかに話すことがあんまりないんだよね。【創造神】を倒したらいろいろやりたいことはあるんだけどね。まずは【創造神】を倒さないと自由に動くこともできないから。」
「そうね。できるだけ早く倒したいけど、戦力差が厳しいわよね。」
「それについても少し意見を聞きたかったんだよね。」
「意見って言われても、戦力の増強しかないんじゃない?」
「私に一つ考えがあるんだけど、これなら今の戦力に少しだけ追加戦力を準備できれば勝てるかも。」
「今の戦力で勝てるの?現状かなり厳しいと思うんだけど。だって、あなたクラスのボスが1体に私やアランクラスのが1000体以上いるんでしょ?」
「うん。だからこそだよ。私は今【創造神】が作った神器を3つ持ってるんだけど、それに加えて私が作った神器を今、アンチデューンとディアに試してもらってるの。それで、魔王軍の幹部四天王以上を極限まで進化させて、全員に神器を持たせる。私が作れる神器が残り5つ。神器を持っていないのが四天王全員とリーン、カインの6人。要は全員に持たせても2つ余る。私が神器・エクスカリバーと私の作った神器の中のエクスカリバーと同じような効果を持つものを所持しておく。そうしたら、その場に神器が全部そろってさえいれば私が完全な状態の神器を2つ所持できる。空間収納内の神器にも反応はするんだけど、みんなの戦力を底上げする必要があるから。」
「【創造神】をリアが相手している間にほかの配下達に邪魔されないようにするため?」
「いや、【創造神】の相手はみんなにしてもらおうと思ってる。」




