275話 【創造神】マケマケ
「私が行ってくる。気配からして今話してた【創造神】に近い力はあると思うから。」
「それじゃあ俺もついていく。前衛がいた方がいいだろ?」
「いや、危険なところにお父さんは連れて行きたくないし、私一人で十分勝てる相手だと思うから。」
「そうか……。絶対に勝って戻って来いよ。」
「誰に言ってるの?私はこの世界の魔王だよ。それも過去最強の。そんな私が負けるわけないじゃん!」
軽く冗談を言いながら、転移の準備を整える。空間収納から武器を取り出しつつ、事前に敵のいる位置に外部・内部からの一切の干渉を禁止する結界を張った。もちろん私は干渉できる。【創造神】の差し金で私のステータスを見るためでないとも言い切れない。警戒は最大限にしておくべきだろう。
「それじゃ、行ってくる。もし巻き込まれそうだったら、兵士たちも全員連れて、【リアの世界】に避難しといて。玉座の裏に【リアの世界】につながる次元門を設置してあるから。」
そう言い残して結界内部に転移する。なんにせよこいつを生かして返すわけにはいかなさそうだね。
鑑定した結果、相手の正体がわかった。
【創造神】マケマケ 神格階級[人族の神]
スキル:{創造神}
HP ∞
MP ◇
STR ∞
VIT ∞
RST ∞
AGI ∞
称号:神格階級、創造神
◇は概念突破状態になりかけの状態ことを表すらしいから相当強いみたい。リーンたちじゃ勝てないかな。MPだけとはいえ◇というのは明らかに格が違う。私もそれは肌で感じている。
「貴様が【創造神】リアだな。その命もらい受ける。」
おそらくこいつは私たちが相手にしている【創造神】ではない。しかし、関係がないとも言い切れないし、相手はこちらについて知っている。ということは何かしら私に対して仕掛けようとしてきているということで間違いない。
「私がリアで間違いはないですが、私を倒したところでなんになるんですか?あなた程度の【創造神】などそもそも相手になりませんが。」
「でかい口をたたくじゃないか。貴様程度でこの私に勝てるわけがないだろう。死ね【ブラッディ・スピア】」
聞いたことのない魔法。それなりに威力は高そうだけど、今の私なら防御系も概念突破状態だから、余裕で受けられる。一切の攻撃が聞かない状態に変化させる。
【ブラッディ・スピア】が直撃する瞬間、マケマケがさらに魔法を発動させる。
「【ブラッド・コントロール】」
その瞬間血で構成された槍が様々な方向に飛び散り、今度は鞭のようにしなり、私の体を拘束した。なるほど。これなら魔法防御は関係ないけど、こちらのステータスを見誤ってるな。魔法使いだからMP、VIT、RSTが◇だろうと思っているようだが、実際は違う。そのすべてに加えてSTRがさらに上位の概念突破状態であるという考えはないみたいだし。ここらで少しやってやりますか。
私は血の拘束を腕の力だけで爆散させた。本当にこんな芸当ができるんだ。
「なぜ私の拘束から逃れることができる……。」
「私はあなたが想定しているほど弱くはありません。魔法【ブラッディ・スピア】」
さっきマケマケが使った魔法をコピーしてみたんだけど、これ面白いかも。込める魔力量によって射出側速度や強度、大きさまで変えることができる。私は1メートルほどで硬度は最硬、射出速度は光速に設定した。この魔法は物理攻撃としても魔法攻撃としても扱うらしく、その威力は硬度と射出速度に応じて変わるらしい。つまり最硬で、光速にすることで最高の威力を発揮できる。その分消費する魔力量は多く、普通の魔法使いでは絶対に足りることはない。∞の魔力があれば使用できるけど、それにしても疲労感がすごそうだ。
射出した瞬間にはマケマケは倒れ、絶命していた。光の速さは私でも追うことができないほど高速で絶大な威力だった。マケマケの死体もほとんど原型をなしておらず溶けているような状態だった。
さすがにここまで高威力とは思っていなかったけど、これは使い道がありそうだし、覚えておこう。




