260話 魔王メリジューヌ
【基軸世界】に戻ってすぐに【リアの世界】の時間の進みを【基軸世界】に合わせた。幸い、数秒【リアの世界】だとかなりの時間にはなるが、そのなかでレオナルドからの連絡はなかったみたいだ。
さて、{リアの恩寵}はどんな感じかな?あのスキルはアンチデューンたちにあげようと思って準備してたものなんだけど、まぁ試すにはちょうどいいよね。
見た感じ、ステータスの上昇に魔力の使用くらいしかできてなさそう。魔法の使用許可も出してるけど、想像魔法自体使い方が不明だし、それ以外の魔法くらいあいつも使えるよね。私が創った魔法は全部想像魔法として組み込まれてるし。
もうちょっとスキルの拡張をしてみようかな。アンチデューンたちは想像魔法を使えるから、魔法の使用許可に関しては意味がないだろうし。
そうなると、スキル効果の一部使用許可くらいがちょうどいいかな。権能としては元のスキルでいうと、{魔人}{魔王}{集団転移}{7つの大罪}{四聖獣}といったところかな。魔力操作系の力と、転移能力、そして外部から力を取り込む能力。カインの場合は元人間で本人も善によっているし、{7つの大罪}の代わりに{七元徳}が使用できるようになりそう。
レオナルドに{リアの恩寵}をあげたからアンチデューンたちにあげるスキルはもう一段階上のものがいいかな。
そして出来上がったのが{リアの加護}。その権能は【創造神】リアの力を流用できる。流用できる範囲は、あらゆるステータス、魔法、一部スキル効果の3つ。ステータスは無限の値を流用することができるのでこのスキルを持つものならば同等の強さになる。
これなら、全員が戦力としてカウントできるかも。ただ、無限だから無限を引いても無限のままなんだけど、無限なりに少しだけ私の力が弱まってしまうのが弱点。スキルの流用に関しては誰かが使ってたら私はその権能を顕現させることができない。
それでも信用のできる配下に与える分には強力この上ないスキルだし、アンチデューン、カイン、ディア、リーンにはあげようかな。神格階級は対象に物体を通した状態でも触れることさえできればステータスなど対象のすべてを自在に操作できる。たとえ武器と武器で触れあっていても。その力があればスキルの譲渡なんて簡単だし、さっさとみんなを集めようかな。何気に初めてかな。三魔将とリーン全員が一堂に会するのは。せっかくだし、みんなでゆっくり他愛ない話でも出来たらいいなぁ。お茶でも入れとこうかな。とりあえずみんなに連絡して、ここに来てもらおうかな。
私が魔法通話をしようとしたその時だった。先にハンゾウからの魔法通話が聞こえてきた。
(リア様、緊急事態でございます。クヌム王国首都が何者かによって襲撃されています。敵の軍勢は魔族で構成されていますので我らで対処しなければ、ここまで高めた人間たちへの信頼も地に落ちてしまいます。)
何でこういうときに限ってそういう嫌なことが起こるかな。
(報告ありがとう、ハンゾウ。私が出向くわ。魔王本人が出向いて弁明しないと意味がないでしょうし。相手が何者かも知りたいし。すぐに向かうけど、敵は誰かが率いてる感じ?)
(はい。かなりの強者のようです。私では勝利できるかどうか……)
ハンゾウで厳しいなら【創造神】が絡んでそう。さすがにこれで乗ら魔族だったら絶対に許さないけど。
(分かったわ。)
私は支度をすることなく、直ぐにクヌム王国首都上空に転移し、想像魔法で空を飛ぶ。
すでに町の中に侵入した魔族もいるようで、対処はかなり厳しい状態かも。神聖魔法に耐性のある魔族もいるみたいだし、魔族だけにダメージを与える魔法を想像してっと。
「想像魔法」
超高出力でぶっ放す。通常で使えばMPが無料大数あっても足りないほど大量の魔力を消費する魔法だ。魔法の効果は町全体を飲み込み、その中にいた魔族だけを攻撃し、殺した。
軍勢は全部倒せたようだし、あとは指揮官級のあいつだけだね。町から少しだけ離れたところに息のころが一人だけいる。指揮官で間違いないだろう。そいつの目の前まで転移する。
「さて、あなたが指揮官で間違いないわね。何でこんなことをしたのかと、だれの命令か聞かせてもらおうかしら。」
「誰に向かって口きいてんのさ。この魔王メリジューヌ様に対して図が高いわよ!」
覇気系統のスキルのスキルを使ったみたいだけど、それじゃあ私には可愛らしいくらいなんだけど。
「その程度の覇気で私が怯むとでも。そもそもあなたでは私の相手になりません。【創造神】の差し金でないならさっさと帰ってください。でないと殺しますよ」
「【創造神】って何?まぁいいわ。そんなに自信があるのなら私と戦う?あれだけの魔法を使ったってことは魔力ももう残っていないでしょ。それに武器も装備していない。そんな状態で私に勝てるのかしら?」
「別に魔力は残ってますがいいでしょう。私はあなたと戦い始めてから1時間は動かないと約束しましょう。攻撃もしません。どうぞお好きなだけ攻撃してみてください。」
よくないのは分かってるけど、格下相手への舐めプはやめられないんだよね。まぁ、異世界の魔王といったところだろうし、ステータス的にも私は倒せないだろうから、今回くらいはいいよね!




