252話 支配者階級
私が動けなくなってから2日が経過し、ハンゾウからアンチデューンとカインが目覚めたと報告を受けた。無事進化できているといいんだけど。目覚めたのなら大丈夫かな。とにかく今の状況の説明もあるし、2人を玉座の間まで呼んだ。呼びかけたら2人は扉の前で待っていたかのようにすぐに入室してきた。扉付近に気配はなかったし、カインはもともと持ってたけど、アンチデューンも何か転移系の力を手に入れたのかも。
「2人とも、寝たままの状態でごめんね。今どこまで話を聞いてる?」
「リーン殿から、今のリア様の状況と獣魔人の件について伺っています。」
ってことはほぼ全部伝えてくれてるんだ。四天王は正直どうでもよかったけど、この2人のステータスを確認しないわけにもいかないよね。
「それじゃあ、ステータスを見せてもらうね。【鑑定】」
アンチデューン 支配者階級[悪魔の支配者]
スキル{分身}{道連れ}{魔力支配}{時空間転移}{眷属召喚}{悪魔支配}{眷属創造}
HP 11111
MP ∞
STR 7777
VIT 4444
RST 88888
AGI 666
魔法:想像魔法
称号:支配者階級、悪魔の頂点、無詠唱魔術師、魔法創造
カイン 支配者階級[死者の支配者]
スキル{魔力支配}{死者の手}
種族固有スキル{MP消費極減}{不死者の王}
HP 1
MP 100000
STR 1000000
VIT 0
RST 0
AGI 300
魔法:想像魔法
称号:支配者階級、死者の頂点、無詠唱魔術師、魔法創造、不死者
それぞれかなり偏っているし、支配者階級が何なのかは気になるけど、とりあえず一人ずつ確認していこう。まずアンチデューン、ステータスがいじられてそうなのは置いといて元来所持していた{分身}{道連れ}に加えて多くのスキルを獲得している。魔力を直接操ることで想像魔法の使用もできるようになり、{時空間転移}のスキルも獲得している。後は悪魔を0から作り出してそれを支配できる力もある。【死神】程度なら余裕で倒せるんじゃないかな?
次にカイン。スキルは{魔力操作}が{魔力支配}に進化し、新たに{死者の手}というスキルを得ている。このスキルはスキルによって際限なく伸ばし続けることができる手を顕現させ、それに触れた相手に実力差次第にはなるが何かしらの効果を付与する。今のカインの実力ならほとんどの相手に与えられる効果は即死だろう。
さらに種族固有スキルも変化している。{MP消費極減}はその名のとおりだ。私が1000のMPを必要とする魔法でもカインなら1の魔力で使うことができる。しかもカインの魔力は1日で全回復するので1秒で1は回復する。そのため、実質無限の魔力があるといっていいだろう。
{不死者の王}は所有者を完全な不死状態にし、攻撃を全てレジストする。さらにアンデッドを無限に召喚することが可能になり、アンチデューンの眷属とは違い、自身で創造する必要はない。そのため防御関連とHPのステータスは極限まで低くなり、その分、MPとSTRが高い水準になっている。それが最も理にかなったステータス構成なのだろう。
そして何よりも注目しなければならないのが、支配者階級についてとレベルがないことだ。支配者階級というのはすべての世界におけるその種族の支配者に君臨する存在で、レベルが存在しないのは、支配者階級の者は同種族の者のステータス、スキル、レベル、命を自在に管理することができ、行ってしまえば、同種族からステータスを奪い放題なのだ。レベルという概念がない代わりにステータスは好きなように上昇させることができる。まさに種族の支配者にふさわしい力だろう。
「ありがとう2人とも、ものすごく強くなってるね。カインに関しては倒せなくなってるし。」
「そうだな。アンチデューンも相当強くなっているだろう。ステータスで見れば俺の方が格下だ。」
「でもその分スキルが凶悪じゃない。私じゃあなたには勝てないし。」
そう言えばアンチデューンとカインってお互いにため口の中なんだ。仲がいいことは何よりだ。
「あと1週間もすればディアが目覚めると思うから、カインは魔王城全体の警備をお願い。アンチデューンは純血の悪魔を連れてきてくれない?虚飾のバビロンか、憂鬱のアスタロトのどっちかを連れてきてもらえると助かる。その血がないとこの呪いを解呪できないから。{時空間転移}もあるみたいだし、他の世界にも問題なくいけるはず。支配者階級は他の世界でも通用する階級みたいだから何も不都合なく他の世界に渡れるはず。」
「分かりました。できる限り早くつれてきます。」
「お願いね。後は、ハンゾウ、獣魔人たちとリーンを呼んできて。」
「御意」
ハンゾウのその言葉ののちすぐに部屋のドアがノックされた。おそらくハンゾウが待機させていたのだろう。




