246話 新たなダンジョン
獣魔人たちがやってきて1週間が経った。あれから、念のため三魔将が目覚めるまでは進化させず、カインとアンチデューンの目覚めを待った。
もうすぐ2人が目覚めるころだ。進化を促してから今日でちょうど4週間。1か月で目覚める予定なのであと2・3日で目覚めるだろう。
あれからニケ村の人たちも無事送り届け、これといってすることがなくなっていたのでハンゾウの分身体に神器を探させ、私は【創造神】と戦うときのための転移スキルの開発をしていた。今回のスキル開発はこれまでのスキル{スキル開発}に頼りきったものではない。なぜなら、同じ条件のスキルをすでに所持しているので新たに同じ効果のスキルを開発することは出来ない。おそらく【創造神】も転移能力自体を阻害してくるので簡単に転移させることは出来ないだろう。やるにはそれ相応のデメリットをスキル自体に組み込んで転移能力自体を別のものに昇華させる、もしくは強化して【創造神】のレジストよりも強い効果を発揮させるしかないだろう。
デメリットとして有効なのは魔法の使用制限や、身体能力の制限が思い浮かぶけれど、その程度のデメリットでは足りないだろう。この世界において絶対的な力を持つ【創造神】のレジストを突破するなんてことは出来ない。さらに重いデメリットとなると部位欠損になってくるが、回復で実質デメリットにはならない。しかし、この間戦った感じでは部位欠損の場合、半身を欠損させるほどのデメリットが必要になる。
さすがに【創造神】はステータスも高いはずなので回復してる間に急接近されて攻撃を喰らって殺されかねない。それに相手の底が見えないので半身でも転移させられる保証はない。確実に転移させるには命を代償にするくらいのことはしないといけない。それにスキルの代償で命を懸けた場合、蘇生の魔法でも生き返らせることができないので誰かを連れて行ってそのものの命を代償にするというのはしたくはない。
そうなるとそれ相応のデメリットを考えなければならないのだけれど、それが全く思いつかない。スキル使用者が支払えるもので命と同レベルの重さのデメリット。そんなものあるのだろうか?
ここ1週間時間があればこの事ばっかり考えているけれど、一向に答えが出ない。何か気晴らしのできるところでもあればいいんだけど。なかなかそんな場所もないし、アンチデューンたちがいつ目覚めるかもわからないし……
「リア様、ご報告があります。」
急に背後から声が聞こえた。
「ハンゾウ!びっくりさせないでよ。{隠蔽術}発動させたままだとあなたが転移してきても気が付けないのね。」
そこにはハンゾウがいた。スキル{隠蔽術}発動中なら{特殊転移}で転移しても悟られることがないらしい。
「申し訳ありません。取り急ぎご報告したいことがございまして。」
「何かあったの?」
「はい。先日クヌム王国にて新たなダンジョンが誕生したらしく、そのダンジョンの最深部に明らかに異常な気配を察知しましたので現在分身に深追いさせています。ダンジョンボスもそうなのですが、生物ではない何か強力な力を持った者の気配がするのです。もしかしたらお探しになられてる神器かもしれません。」
「それはうれしいわね。一応分身でできるだけ多くの情報を持ち帰ってちょうだい。その情報次第でどう攻略するか決めるわ。」
「かしこまりました。それからもう一つ、そのダンジョンについてなのですが、国境付近にあることで両国から多くの冒険者が流れ込んでいます。それらに紛れて深部へ潜入するのがよろしいかと思います。」
「なるほど、久々に冒険者として動くってことね。それじゃあ、引き続き情報収集してちょうだい。ダンジョンの最深部に神器があるって確定したか、万が一あなたの分身体が負けることがあったらすぐに読んでちょうだい。あなたの分身が負けるほどの魔物がいるなら間違いなく最深部に何かあるだろうから。」
「かしこまりました。それでは一度失礼します。」
そういうとハンゾウは解けるように消えていった。{特殊転移}は私のもとへしか転移できないので分身を報告用で転移させて、報告が終わったらその分身体を消せば効率的だと助言しておいたのだ。分身体には行動制限がないので文字通り、自分が何人にも増えるという感じだ。
さて、アンチデューンたちが目覚めるまでのいい暇つぶしが出来そうかな。神器がないにしても新たに生まれたダンジョンなら少しは楽しめるだろう。しかもかなり大きいのだろう。ハンゾウのスキルを付与したAGIならダンジョンくらいすぐに踏破出来るだろう。しかし、時間がかかっているということはそうもいかないということだ。何か理由があるのかもしてないが、それを知る方法はない。それから1時間ほどで再びハンゾウが転移してきた。




