245話 獣魔人の実力
サダン以外の3人の鑑定をした結果がこんな感じだ。
犬の獣魔人 カイ
スキル{神化身体}{獣魔人}
称号:獣魔人、神獣、叛逆者
狐の獣魔人 フォス
スキル{思考誘導}{獣魔人}
称号:獣魔人、神獣、叛逆者
猫の獣魔人 キト
スキル{状態変化}{獣魔人}
称号:獣魔人、神獣、叛逆者
カイの{神化身体}は身体能力を大幅に強化し、音速を超える速さで動くことができ、その攻撃力も一撃で地割れを起こすほどにまで向上させることができる。
フォスの{思考誘導}はその名のとおり、対象の思考を誘導することができる。自分に都合のいいよう勘違いさせるだけでなく、実際に見えている景色と違うものを認識させることも可能。例えば槍で攻撃しているのに相手には素手で攻撃しているよう見せることも可能になる。ただし、サダンの{幻術支配}に比べるとその精度は劣る。
最後にキトの{状態変化}は自身とスキルの効果の適応を承認したものに発動することができ、そのものの状態が『死』以外であれば、好きなように変更することができる。状態異常を消したり、病気なども『状態』に定義されるので治すことができる。それだけでなく、物理的な状態を変えることで全身武器の人間を造ったり、小人や巨人を作ることも可能となる。
全員のスキルを確認したわけだが、やはりそれぞれ相当な力を持っている。ステータスは同じくらいだけど、これではとても【創造神】と戦えるレベルとは言えないだろう。四天王といい勝負をしそうな程度の実力しかない。この世界では十分異質だろうけど、私たちがこれから戦うのはこの世界の枠を飛び出した先なのだからこれでは実力不足と言わざるを得ない。
彼女らが【創造神】に殺されなかったのは、見せしめにするために【創造神】が生かした、もしくはキトのスキルでどれだけ攻撃を受けてもHPが全回復した状態にし、MPが切れても全回復した状態にしたため、【創造神】でも倒せなかった、このどちらかだろう。4人の中でもキトの能力は特に異質だ。複数人での戦闘となればほぼ全員を不死身にできるといっても過言ではないだろう。
残りの3人の能力は【創造神】に相性が悪すぎる。幻術が効くとは思えないし、思考の誘導も同様に無効だろう。そもそも相手に干渉する系のスキル自体が【創造神】には相性が悪いと言わざるを得ない。そして音速を超える速さで動けても、【創造神】はスキルを自分で作れるだろうし、それを配下に分け与えることだってできるだろう。彼女らのスキル対策をした配下を送り込んだことで【創造神】が勝利したといったところか。
「みんなありがとう。また今度改めて鑑定するわね。それじゃあ、あなたたちがこれから住む魔王城に案内するね。みんな近くによって。とりあえず私のスキルで玉座の間に転移するから。」
そう言って皆を近くによらせ、スキルで転移した。4人にはこれから進化してもらう予定だ。リーンの種族変更もその進化した獣魔人を鑑定してから行った方がいいだろう。
「まずあなたたち4人には進化してもらおうかな。私が魔力を流し込んで進化を促すからしばらく眠ることになるけどいいかな?」
「他者に魔力を流し込み進化を促す?そんなことできるんですか?進化に関しては私たちも知ってはいますけど、他者に魔力を流し込むなんて考えられません。」
キトがそういうがもっともだ。常識で考えたらあり得ることではない。
「私のスキルでそれができるの。進化してもらわないと、私の配下でも5番目以降の強さの四天王と同格かそれ以下の強さしかないから。魔王軍の組織構成について少し説明するね。」
そうして私は三魔将、四天王など、魔王軍の攻勢に関することの説明をした。最近変化が大きすぎて確定ではないことも。
「それであなたたちは三魔将と同格かそれ以上になってほしいの。あなたたちなら2段階は進化できると思うから、進化するのには1か月以かかるんじゃないかな。」
「なるほど。新参者の私たちがそんな位置にいていいのか?」
カイがそう聞いてくる。確かに配下たちからすれば不満を持つ者もいるだろうが、彼女らには力があるし問題ないだろう。
「大丈夫なはず。魔王軍は実力主義だから。もし、今の組織構成から変更しない場合は、あなたたちは私専属の極秘部隊になるからね。すでに軍の総括を任せてる三魔将の許可なく一人を引き入れたけど。」
どちらにせよ、【創造神】への復讐の機会は与えてくださるのでしょう?それなら私たちに異論はないです。」
サダンのその言葉にほかの3人も頷く。
「もちろん。私が【創造神】と戦う時に一緒に来てもらって戦うよ!私ひとりじゃ寂しいし、足手まといにならない強さをこれから得るだろうしね!」




