230話 神器の力
金属の光沢を放っているとはいえ死神の鎌のスキルによる攻撃は無効化できないはずなのでカウンターの構えを取る。鎌を扱うのは初めてだが、当てれば勝ちなので大して問題ないだろう。
まっすぐに突っ込んでくる九尾。しかし、距離があったのと以外にも遅かったのでまだ相手がたどり着いていない。というよりまっすぐ突っかかってきている割には慎重な気がする。何かを狙っているような構えだ。
警戒を強めて構えていると九尾が突然魔法を使用してきた。風の魔法を使用して地面の土を巻き上げ、目隠しに利用しようとしているらしい。
少し面倒ではあるけれど、魔法を使いつつ肉弾戦もこなす九尾のようだ。さすがに少し厄介だけど、それくらいならどうにでもできる。
「【マリオネットネイチャー】」
まずは空中の水蒸気を集めて雲を作り雨を降らせる。それにより舞っていた土は地面に落ちる。これで相手の戦略は潰れたことになる。それに九尾が得意とするのは火の魔法なのでそれも実質的に封じたことになる。火の魔法も目くらましとして使うには最適なのでそれを封じれたのはでかい。もういい加減面倒なのでこっちから攻めることにしよう。
「加速魔法【瞬間移動】」
速度を最大まで上昇させ、最高速で九尾に近づき鎌で切りつける。すると、そこには元から何もなかったかのように九尾が消え去り、そこには何もない空間だけがあった。
「これで終わりですね。ミクルだったわね。魔王リュキアに報告は不要よ。私たちはこの世界の存在ではないから。」
「はぁ。分かりました。それでは私はこれで失礼します。」
そう言ってミクルが去っていったのを確認し、私とリーンさんも転移して魔王城へと帰還した。
「その鎌も大概おかしい性能だったわね。早くしまいなさい。配下に当たって消してしまっても知らないわよ。」
「そうですねすぐにしまいます。私も使うのは初めてだったので少し使い勝手が悪かったですが、まぁ使うことはそうないと思いますが。」
「そうね。あなたの世界でなくてもかなり強いスキルを持っているんでしょう?それならこの世界でも使うことは少なそうよね。」
「今日はもう夜なので休みましょうか。明日はお昼くらいに行くところがあるので一緒に来てもらってもいいですか?
「もちろんいいわよ。時間になったら部屋まで迎えに来てくれる?まだこの城の構造もあまりわかってないから。」
「分かりました。部屋の近くに一人配下を常駐させているので食事など何か用事があったらそいつに聞いてください。」
「何から何までありがとうね。それじゃおやすみなさいリア。」
「はい。おやすみなさい。」
リーンは自室に戻っていった。私も特にすることがないので久々にゆっくりと休んだ。落ち着いて休める時間がなかったので本当に久々だ。今日はぐっすり眠れそう。
久々に一人でゆっくりと食事をとり、ゆっくりとお風呂に入り、ゆっくりと眠ることができた。翌朝はゆっくり起き、朝食を取った。こんなにゆっくり過ごせるのは本当に久々だ。心が癒されていく気がする。しばらくはこんな感じで過ごしてもいいかもしれない。これまで大変な日々を過ごしてきたので少しくらいゆっくりとしよう。配下たちに神器に関する情報を集めさせるとして、幹部たちが目覚めるまではそれと、保護している人たちに関することだけしていけばいいだろう。




