23話 ディアダンジョン
格付け試験では、行きと帰りは担当の冒険者パーティが護衛をしてくれるらしい。そのおかげでリアは難なくディアダンジョンへ到着したのだった。
「よし。ここがディアダンジョンだ。入口から中に入った瞬間に3時間のカウントダウンが始まる。その時間内にどこまでたどり着けるかでランクが決まるから頑張れよ。準備ができ次第中に入ってくれれば俺たちもついていくからな。」
カインが改めてそう説明してくれた。
「わかりました。少し準備するので少し待っていてください。」
「マテリアルクリエイト」
リアがそう唱えると同時に、リアが頭の中で思い描いた形状、素材でできたソリが出てきた。
「なんだそれは?」
「見ていたらわかります。それでは皆さん乗ってください。」
首をかしげながら乗り込む4人。乗り込んでいる最中にもリアは魔法を唱えていた。
「フィジカルストレングス」
「ソニックムーブ」
「いったいこれをどうするんだ?」
よくわからないといった顔でカインが問いかけてくる。
「今に分かりますよ。それでは皆さん行きますよ。」
そういってリアはとてつもない速度で走り始めた。ソリを引きながら。
「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」
そんな悲鳴が聞こえてくるがそんなことはお構いなしにリアはソリを引き続ける。「マテリアルサーチ」は常に発動させているのでどこにエリアボスがいるかもわかる。その辺のモンスターはこの速度によっておこる爆風で吹き飛んでいくのでまっすぐにエリアボスのところへ到達した。
「おい、こんなに早く走るなら先に説明しておいてくれよ。そもそもなんで人4人を引っ張っていきながらあんなに早く走れるんだよ。」
「エリアボスの前でそんなこと言ってる暇があるんですか?私は大丈夫ですけど、自分の身は自分たちで守ってくださいよ。」
リアはそんなことを言いながら、初級火魔法「ファイヤーボール」を発動させていた。
それを見て驚くのがロインだ。当たり前のように無詠唱で魔法を使ったのだから当然である。しかも初級魔法ながら、上級魔法クラスの威力を発揮していたのである。もはや声にもならない声で叫んでいた。
あいては、おそらく特殊個体のエルダートレント、体が普通のそれの10倍ほどある。しかし、リアの「ファイヤーボール」1撃で倒されたのだった。
そこから7層まではノンストップで突き進んだ。6層以降のエリアボスは1撃では仕留められなかったが、それでも一瞬で倒していくのである。そんなリアの異常さとソリの速さに4人がなれるのにはそう時間はかからなかった。そして7層のエリアボスを倒したリアが、
「次で8層か。もう最高到達点まで来ちゃった。」
そういうと『獅子の牙』の4人はようやくリアクションをした。ここまではもうほとんどあきれてもはや見てもいなかったが、最高到達点ともなると話は別だ。
「マジかよ。まだ1時間しかたってないんだけど」
カインがかろうじてそう言ったがもはやほかの3人は何も言えなかった。
そんな会話をしながら一行は最高到達点である8層に足を踏み入れたのだった。