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221話 意外な再会

今回普段より少し長いです。

リーン達を寝かせている部屋に行ったが、まだ誰も目覚めていなかった。鑑定しても全員進化の眠り状態ではないのでいつ目覚めてもおかしくないが、まだだれ一人として目覚めていないのは少し気がかりだ。種族的な進化をしたので食事や水分の補給の必要はないが、進化に対応しきれず体が弱っている可能性もある。少し詳しく鑑定したいけれど、私の鑑定はあくまでもその者の状態を鑑定するものなのでその詳細を鑑定することは出来ない。今の彼らの状態は睡眠なので誰一人と死んでいないし、全員進化の眠りは終えている。種族を見ても進化には成功している。幹部がみんな眠りについている以上私がここで護衛をするしかないだろう。目覚めたときの対処もすぐにできるし一石二鳥だ。

一度入り口から出て、近くにいた魔族に食事の準備など、目覚めた後にいろいろとスムーズにできるように分身が使える配下を一人この部屋の入り口に配置するように指示した。

部屋の中で5人の様子を見ているとドアがノックされた。


「はーい。」


返事をするとドアが開かれ、忍者みたいな恰好の蜥蜴人(リザードマン)が現れた。


「あなたが分身を使えるっていう子ね。私はこの部屋でこの5人の様子を見るから、部屋の外で何かあったら知らせてほしいのと分身を活用して私からの指示の伝達などをお願いね。分身でいいからここの入り口に一人外の見張りもかねて配置しておいてちょうだい。」


「御意。」


その蜥蜴人(リザードマン)はそう一言言い残すと、すぐに部屋を出ていった。あいつは仕事が出来そうだし、進化させてみてもいいかもな。分身なんて使える配下がいるのってなんかあこがれるんだよね。


それから数時間が経ち、普段の生活で使えそうな魔法をいくつか開発したころ、一人の瞼が少し動いた。私は少ししてからそれに気づき、そばで声をかけた。


「聞こえますか?」


そういいながら体をさする。けがはもうないが、まだ体の調子は悪いかもしれないので揺らさないようにゆっくりとさする。まだ意識がはっきりしていないようなのでベッドの横に座って様子をうかがう。

10分程してようやく意識がはっきりしてきたようでついに言葉を発した。


「ここは?確かよくわからない奴と戦っていたような・・・・・」


「気が付きましたか?」


すぐ横に人がいたことに少し動揺しながらも


「あんたは誰だ?それとここはどこなんだ?」


「私はリアといいます。リーンさんが助けを求めているのを感じて駆け付けたのですが、すでにかなりの人数がやられていたのでとりあえずここに連れてきて治療をさせていただきました。あなた達重傷者は2日以上眠っていたのですよ。」


「そうか、ギルマスの知り合いなのか。それに2日以上もか。それにしては体が軽い気がするな。それで、ほかのみんなは無事なのか?」


「重症だった4人はまだ眠っています。」


そういいながらリーンの方を見る。今目覚めた男は一番端のベッドだったので上半身を起こして

残りの4人を見て、


「そうみたいだな。みんな助かりそうか?」


「あなたと同じ治療を施したのでおそらく大丈夫だと思います。」


「そうか。後の25人はどうなった?俺が倒れたころにはもうかなりの人数が殺されていたようだが。」


「4人は軽傷だったので治療しました。残りの21人は私が蘇生させて、皆さん目覚めましたよ。」


「簡単に言うな。蘇生ってのは本来簡単に扱えるものじゃねぇぞ。それも21人も同時にか。あんた何者だ?」


助けてくれたことから警戒心はないのかかなり優しい口調だった。


「私が何者かはこの場所がどこか分かればすぐにわかりますよ。あと、念のため全員が目覚めるか私が指示するまでこの部屋からは出ないでください。私もこの部屋にいるので。何か必要なものがあれば準備しますし、トイレはいかなくても大丈夫だと思うので。」


「行かなくても大丈夫ってのはどういうことだよ?そうもいかねぇだろう。」


「それについても皆さん目覚めてからです。おそらく尿意は感じないと思いますよ。」


「そうか?まぁいいや。何か食事をもらってもいいか?腹が減ってるんだ。」


「そうですよね。すぐに準備させます。」


私は部屋の前に立つ分身体にスープか何かを準備させるように伝えさせると、部屋に戻った。料理は自分が受け取るからノックだけしてくれとも。


「持ってこさせるよういったんのですぐに来ると思います。そういえば聞いてなかったのでお名前を聞いてもいいですか?」


「そういえば名乗ってなかったな。俺はドラルっていう。Aランク冒険者パーティ黒狼のリーダーをやっている。」


黒狼?どこかで聞いたことがあるような。


「ドラルさんですか?どこかでお会いしたことがありませんか?そのパーティー名とあなたのお名前に覚えがあるのですが。」


「リアさんとか?うーん、ちょっと記憶をたどってみるから待ってくれ。」


それからうなりながら数分考え込んでいたドラルの顔色が一気に青ざめていった。もしかして過去の私がボコしたりとかしてるんだろうか?


「もしかして、あなたはSランク冒険者のリアさんですか?」


「元ですけどね。」


「そうでしたか。覚えておられるかわかりませんが、私、あなたがSランク冒険者として登録されたときにギルド内であなたに襲い掛かった冒険者です。」


カタカタと震えながらそう宣言する。そんな奴もいたなぁ。今では懐かしい思い出だ。


「あー。あの時の方ですか。そんなに怯えなくていいですよ。あの時のこと怒ってるわけではないですし、今では一つの懐かしい思い出として残っているので」


「それならいいんだが。」


震えは収まったみたいだ。そんなにトラウマになっていたのだろうか?


「ずいぶんと丸くなりましたね。」


「あんなボコされ方したら丸くもなるだろ。あれから10年以上もたってるし、俺もいい年だ。そろそろ引退を考えていたくらいだからな。」


「そうですか。それについては後で少しお話があるのでそれから考えてもいいのではないですか?」


「どんな話か気になるがそうすることにするよ。それにしてもあんたは全く見た目が変わんねぇな。あの後勇者になったことまでは聞いたが、今はどうしてんだ?」


「それは全員が目覚めてからのお楽しみです。それにしても他の方は目覚めませんね。」


「そりゃ当時と違って今の俺は戦士だ。他のやつらよりも体が強いんだよ。」


「なるほど。」


私が納得していると、部屋のドアがノックされた。料理が届いたのだろう。


「ちょっと待っててください。受け取ってきます。」


「おう。」


私がそう言って部屋の入り口まで料理を取りに行く。一応病み上がりなのでシチューを持ってくるよう指示しておいた。ついでに私の昼食にも同じものを持ってこさせた。この指示が来るのを分かっていたのか、高速で料理を作るスキルでもあるのかわからないが、ここではなぜか手間のかかる料理がすぐに出てくるのだ。


「どうぞ。」


「あぁ、ありがとな。お前も食うのか?」


「えぇ、お昼時は過ぎてますけど、私もここにずっといて昼食をとってなかったので。」


「そうか。他のやつも早く目覚めるといいんだけどな。」


「すぐに目覚めると思いますよ。私の経験上、蘇生でも皆さん目覚めるのにあまり時差はなかったので。」


「それなら安心だな。ちなみにギルマスはあんたの正体が何なのか知ってんのか?」


「知ってますよ。ただ、10年もあってなかったので久しぶりの再会ですね。」


「そうか。」


そんな感じでドラルと話しながらシチューを食べていた。他の4人を見ていなかったのは確かだが、気配に変化がないか気は張っていたはずだ。しかし、急におなかの鳴る音がした。後ろを振り返るとすぐ隣のベッドの人が目覚め、開口一番に


「腹が減った。」


そういい放った。

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