219話 三魔将・四天王
投降したオルはこの場では殺さず一度牢に入れた。今後、謀反が起こらないようにするためにも謀反を起こしたものがどうされたのかを見せ占める必要がある。そして改めて四天王の決定と三魔将の発表を行う手はずを整えた。魔王上の入り口は大広間になっており、配下の魔族ならそこに全員を配置することができた。そのため、一度は以下の魔族を全員そこに呼び出し、発表を行うことになった。重大な発表があるとだけ伝えて魔族たちとカインを招集した。
「初めての方も多いのでまずは自己紹介を。私は魔王リアです。今日ここに集まってもらった要件は2つあります。まずはその一つと行きましょう。先ほどから気になっているとは思いますが、彼は罪人です。私に対して謀反を起こし殺そうとしました。今後このようなことが起こらないようにするためにも罪人は公開処刑を行います。彼は私への反逆、つまり魔王軍への反逆を犯しました。その罪は非常に重いため斬首刑す。」
魔王が話しているからか魔族たちから動揺する声は聞こえてこない。もしくはそれが当たり前なのだろうか。
それからはこれといって変わったことはなく、オルの処刑が進められた。後ろ手に縛られ、正座させられていたオルだが、うごかないように麻痺の魔法もかけてあった。動けないオルはその首を斬り落とされた。私の手によって。これは私がやりたかったのではなく、配下たちが刑の執行人は絶対の支配者であるべきだと言ってきかなかったからである。不快だったものの、そのほかには特に何も感じなかった。
そして今日の本題に入る。さっきの死刑執行はいわば前座だ。こんなにも不快な前座があっていいのかと疑問には思うが、他に何もないし、やらなければならなかったのだから仕方がないだろう。
「大罪人の死刑も終わったので次に移ります。今日集まってもらった本題は魔王軍の組織化についてです。わかりやすく言うと私の下に付き、あなた方の上司に当たる人物を決めましたので、その発表をしたいと思います。まずは私の直轄に当たる三魔将。まずは死将カイン。」
私が名前を呼ぶとカインが前に出て礼をした。形式上全員に例をさせることになっているが、元人間なだけあって礼儀作法は完璧のようだ。
「次に悪将アンチデューン」
カインに続き完璧なお辞儀を見せる。長く生きているだけあって作法などもわきまえているようだ。
「最後に魔将ディア」
ディアも同様にお辞儀をする。全員に二つ名を付けたのだが、ディアだけは思いつかず悪魔の魔から「魔将」ということになった。意味はあるので大丈夫だろう。
「次に三魔将の指揮下に置かれ、配下の魔族達を指揮する四天王を発表します。まずは力中将オグレス」
オグレスが前に出て礼をする。彼らにも二つ名を付けたのだが、こちらは中将だ。
「魔中将エレン」
「幻中将シャナ」
シャナは妖狐という種族の中でも数の少ない人型の妖狐だ。相手に幻を見せたり、幻聴を聞かせるといったトリッキーな戦い方が得意なようだ。全体を見る力も十分だろう。
「技中将ルイ」
ルイは悪魔と人間の混血である、ハーフデーモンだ。ハーフデーモンは魔力が通常の悪魔よりも少ない代わりに熟練度が高く無詠唱で魔法を発動できる。そのほかにも肉体能力が非常に高く鍛え方次第ではとても強くなることができる。そのうえ、ルイは知能も高いので文句のつけようがない。魔法の技、肉弾戦での技、軍団指揮での技。様々な技を見せてくれるはずなので技中将という二つ名がふさわしいだろう。
「以上4名が四天王です。あなた方がどの四天王のもとにつくのかなどの事はすべて四天王に任せます。しかし、四天王が問題を起こしたり、四天王の訓練や指導がきついという場合は私に言ってくれれば対応を考えます。私へ何か伝えたいときは文書や手紙にして玉座の間の入り口に設置してある箱に投函してください。そして四天王や三魔将になりたい方も数多くいると思います。その場合は、下剋上の戦い挑むことを私に申請してください。それを受理したのちに四天王序列最下位のものと入れ替わりを申し込んだものを私が見ている場所で戦わせ、勝利した方を四天王とします。ただし、相手を殺すことは禁止とします。四天王の序列は現在横並びですが今後差が出たらその最下位の者の中から一人と戦っていただきます。三魔将になる方法は四天王になった方にのみ伝えます。以上となります。軍団の編成に関してはまだ少し先になると思うので、それまでは各々鍛錬を積むように。以上。解散して大丈夫です。三魔将と四天王だけ玉座の間に来てください。」
三魔将と四天王について一気に知らせ、解散を言い渡した。おおよそはこれで大丈夫だろう。後は三魔将と四天王をそれぞれ1段階ずつ進化させよう。ディアは2段階進化させないといけないか。玉座の間に向かい、全員を円卓につかせて話を始めた。




