216話 攻撃が効かない⁉
オルの攻撃をかわすのは意外と容易かった。ハンマーなので攻撃の導線が構えた時点で分かりやすすぎるのだ。しかし、その分ダメージもでかい。当たっても死ぬことはないが、ノックバックされてしまう上にしばらく動きに支障が出る。
あえて隙を作り横なぎの攻撃を誘う。それが罠だとも知らずに攻撃を叩き込んでくるオル。横なぎの攻撃をした際にはハンマーを振り回す特性上手元に引き寄せるためのラグが一瞬だけ生じる。その一瞬のすきに打撃を叩き込む!
体勢を低くすることで攻撃をかわし、懐に潜り込む。ミョルニルはまだ引き戻せていない。今なら攻撃も当たる。オルは少し戸惑ったような表情をしながらも攻撃を受けることを覚悟したらしく、こらえる体制に入った。
腹部を全力で殴りつけた。地面を殴りつければ直径10メートルほどのクレーターができるだけでは済まず、中央には小さいが地割れが生じてしまうほどの威力の打撃だ。
しかし、オルはそれを平気な顔をして受け止めた。ミョルニルのスキルではなさそうなのでおそらくヤツのスキルもしくは防御力だろう。鑑定魔法で見たところ防御力は大したことはなさそうだ。となるとスキルだろう。いくつかスキルを所持していたがその中にいかにもなものがあった。
スキル{硬化}VITを一時的に1000000000000(1兆)まで上昇させるスキル。VITを上昇させつつ、スキル使用中のみMPを支払ってHPを回復させることと、HPを支払ってMPを回復させることが可能
何とも厄介なスキルだ。肉弾戦で勝たなきゃならないってのに防御力まで超上昇させれるとかちーとすぎるでしょ!こんなのどうやって勝てばいいんだよ。あのハンマーを手から離れさせることができればいいんだけど、魔法とスキルの使用も封じられてるしなぁ。鑑定である程度の情報は・・・・・・。鑑定?何で鑑定は使えてるんだ?これも魔法扱いなはずだよな。MP消費はないけれど、鑑定のスキルをもとに作成した魔法だ。なぜかMPの消費がなく、代わりに何かが消費されるわけでもない。
MPが消費されてない魔法だからスキルでも魔法でもないと判定されている?それなら何か他の者でも試してみよう。まずはMPを消費する魔法を発動させようとする。しかし、普段当たり前のようにやっている魔力操作が全くうまくいかないのだ。魔力を感じられないというか、あるのは分かるのだけれど見えないし手に取れないといった感じ。これは魔力自体の使用を制限しているのか。ではスキルはどうだろう。いつもは唱えるだけで発動できていたが、この状況で発動できるのだろうか。とりあえず小声で唱えて{時空間転移}を発動させて、この部屋の中の扉の前を選んで転移しようとする。しかし、スキル自体が発動せず、やはり何かに阻害されているようだった。やはり、スキルでも魔法でもない技能のみが通用するのだ。つまり、それで攻撃できる魔法の構成を考えればいいのだ。MPを消費できないなら消費するのはHPだな。HPを消費して何かしらの攻撃を仕掛けることができればいいのだが、どうすれば魔力を使用せず魔法を創れるのかがわからない。通常魔法を作る際にはスキル{魔神}に頼っていたし、手動で作るにしても魔力のみで魔法を構成していた。
おっと、一応威力に逆らえず吹き飛ばされはしたヤツが起き上がって再び襲い掛かってこようとしているころだろう。ここからは戦いながら考えるとしよう。




