214話 選別
「それでは続けます。まず、今この中にいる幹部の中で軍団の指揮や、作戦を練ること、全体を見渡すことが苦手、もしくは四天王になりたくないという方は退出してください。のちのち、どの四天王の下についてもらうかはお話しますので。」
すると10人ほどが退出していった。残り28人だ。さて、次はどうしようか。強さは純粋にどうでもいいから、頭の良さを測ろう。それならゲームがいいだろうか。その人の思考が読めてなおかつ頭の良さを見れるとなればボードゲームとかが無難だろうか。とりあえずやってみよう。たしか、収納魔法の中に入れてたはず。
「次は全員アンチデューンと1対1でゲームをしてもらいます。アンチデューンとの勝敗は関係ありません。あなた方の戦術や思考を見て合否を判断します。それではこちら側の人から順にあのテーブルにお願いします。不合格だった方はそのまま退出してください。」
それからはひたすらアンチデューンにこの世界のボードゲームをさせた。ルールは将棋やチェスに似ている。その戦い方を見て上に立つものとしてふさわしいかを見させてもらった。
数時間かけて終わらせ、最終的に残ったのは3人だった。合格者の中にはさっき騒いでいた魔族がいた。大柄で、自分勝手そうな性格をしているし、他の2人の方が冷静な気がする。
「それで魔王さん、残り3人だが、どうするつもりなんだ?」
にやにやしながらその魔族が話しかけてくる。こいつを落とすって言ったらどうせ襲い掛かってくるんだろうな。面倒くさいけど、そうして謀反ってことで処刑するか。
「私の中ではもう考えがまとまっています。こちらのルイさんと、シャナさんにします。あなたは不合格です。」
「なんだと。テメェ、ちょっと魔王になったくらいで調子に乗りやがって、俺様直々に締めてやるぜ!ウォートロールの力思い知るがいい!」
そういいながらウォートロールのオルが襲い掛かってきた。ウォートロールとはトロールの上位種で驚異の再生能力と物理攻撃能力を有しており、私が魔法で行っている空間収納も種族の固有スキルで行うことができるため、あらゆる武器を装備することができる。
最初にオルが取り出したのは棍棒だ。2メートルを超える大きさで普通の人間なら跡形も残らずにつぶれてしまうだろう。
それなりに戦いなれているらしく、かなりの速度で突っ込んできて、最も威力の乗った状態で横から薙いでくる。棍棒といえば振り下ろしたり殴りつけるイメージだが、速度があるなら横なぎの方が強いのだ。
その棍棒が私に当たった瞬間、棍棒が砕け散った。あまりに高威力で棍棒よりも圧倒的に固いものに叩きつけたのだから棍棒側が砕けてしまうのも仕方がないだろう。
他の幹部たちは唖然としているが、オルはそんなこと構わず、次なる武器を取り出した。次は巨大な斧だ。
これまた、私に攻撃した瞬間に壊れてしまった。私はこいつのこの世界の武器なら一切の物理攻撃を防げるのでこいつは私を倒すことができない。そんなこともわからずにむきになって攻撃し続けるようなところがよくないって言ってるんだけどな。




