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211話 目覚め

部屋の見張りと蘇生した人たちの観察をしていたのは、ディアだった。魔王城に正面から入ろうとして止められたときにアンチデューンが使わしてくれたあの悪魔だ。目覚めた人たちはディアを警戒していたが、武器も防具もないので、部屋の隅の方に固まっていた。


「ディア、事情は説明してある?」


「申し訳ございません。全員が目覚めてからと思いまして。」


「いいえ、正解よ。目覚めたばかりだからあまり驚かせてしまうのは良くないだろうし。」


「ありがとうございます。起きたものがまだ眠っているものを起こしていっているので間もなく全員目覚めると思います。」


「ありがとう。こんな形で会うつもりじゃなかったんだけど。話したいことがあるからまた今度呼ぶね。後は私が見ておくから休んでいいよ。」


「お心遣いありがとうございます。」


そういってディアが退出し、5分ほどで全員が目を覚ました。今度は私を警戒しながら全員で固まっていた。冒険者としては正しい判断だろう。


「みなさん、自分の身に何があったか覚えていますか?」


できるだけ優しい口調で語りかける。11人全員で顔を見合わせ、その中の一人が頷き、


「ダンジョンで謎の男に襲われて、やられたことは覚えているがその後どうなったかまではわからない。」


「なるほど。では簡潔に言いますが、皆さんはその戦闘でその男に殺されました。皆さんと一緒にダンジョンに潜っていた方の中に私の恩師がいて、その人を助けに向かうとすでにあなたたちはなくなっていました。相手の男は倒さずに皆さんと生存者全員を連れてここに魔法で転移してきました。その後、生存者の治療を済ませ、皆さんも生き返らせました。ここまでで何か質問はないですか?」


一気に説明して、何か聞きたいことなどないか尋ねると、数人が手を挙げたので、その中の一人に発言を促す。手を挙げた人全員ですこし話をした後発言し始めた。


「全員の質問を私が代理でします。」


「分かりました。先に全部質問を言ってもらってそれから私が答えますね。」


「はい。それではまず、ここはどこなのでしょうか?そしてほかの9人は無事なのでしょうか?先ほどから人間にできそうもないことを当たり前のようにおっしゃっていますがあなたは何者なのでしょうか?」


「まず最初に、ここは魔王城です。私は魔王リアです。他種族に対しての敵対意識は一切ないのでご安心ください。そしてほかの9人の方に関してですが、4名は負傷だけだったのですでに治療して今はそれぞれ個室で休んでるか、外で体を動かしてると思います。残りの5人は重傷で治療魔法ではどうにもできなかったので少し特殊な治療を施しました。しかし、私自身も初めて行いますし、前例もないので必ず成功するとは限りません。が、今のところ容体は安定しているので安心してください。」


「ありがとうございます。本当に魔王様なのですか?まるで人間のような風貌でいらっしゃいますが・・・」


「本当ですよ。十数年前に先代の魔王を倒し、魔王になりました。元はキルスの町で冒険者をしてたんですよ。魔王になってからは外見は年を取らないのでこんなにも幼い見た目のままですが。」


これは嘘だ。肉体の年齢なんて魔法さえ使えればどうとでもいじることができる。しかし、今の自分でいたいのでこのままにしているのだ。


「そうですか。私たちはこれからどうなるのでしょうか。」


かなり不安そうな顔をしながらぽつりと言った。


「皆さんは好きなように生きていってもらって構いません。キルスに戻って冒険者をするもよし、何か商売を始めてみるのもよし、ここで退廃的に暮らすのもよしです。何をするにしても私の方から援助は出しますので好きなことをしてくださって構いませんよ。あと、皆さんを不老不死にすることもできますのでもし希望される方は私か私の配下に声をかけてください。配下に声をかける際には私に合わせてほしいと言えば通すよう言っておきますので。」


「不老不死にするって本当にそんなことができるんですか!?」


驚き、興奮しながらがっついてきた。確かにかなり魅力的ではあると思うが、一応デメリットも伝えておこう。


「しかし、不老不死もいいことばかりではありません。周りの人々は先に死んでいき、一人取り残されてしまいます。それに何か死にたいことがあっても簡単に自殺もできませんし、同時に相当な強さを得ます。その力は少し危険なので不老不死になる場合はその力の代償として、私の管理下にいてもらいます。支配に逆らうなとは言いませんが、ある程度の制限は守ってもらいます。まぁ、今日はとりあえずゆっくり休んでください。それぞれ個室を用意させるので少しお待ちください。」


そういい、アンチデューンに連絡を取る。


(11人分の個室を用意させてちょうだい。すこし時間はかかってもいいから。)


(すぐに用意させます。)


それからたくさんの質問を投げかけられ、それにこたえている間に部屋の準備が整ったようだ。


「皆さん部屋の用意ができたのでご案内します。この部屋も皆さんで自由に使ってもらって大丈夫です。部屋に行くまでの間に少しだけ案内しますね。」


それから、玉座の間の入り口、重傷者を寝かせている寝室、軽症で生き残った4人の部屋そしてその近くに11部屋用意させていた。さすがアンチデューン、仕事ができる。


「ここが皆さんの部屋です。場内は魔族や魔物がうろついていますが、皆さんから攻撃したりちょっかいをかけたりしなければ大丈夫なので安心して過ごしてください。私の方から呼ぶこともあると思いますが、その時は来ていただけるとありがたいです。重要な話があるときなので。」


「分かりました。」


「しばらくはゆっくりしてもらって大丈夫だから、今後の身の振り方についても考えておいてくださいね。」


そういって私は玉座の間の方へ戻った。あとは、リーン達重傷者5人が目覚めて、カインがあの男を倒してくれればこちらの完全勝利だ!

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