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207話 カイン

少ししてからアンチデューンに生き残りの3人に朝食を出し、食べ終えたらこちらへ招くよう言った。魔王城にもキッチンがあり、ちゃんと料理ができる魔族などもいたので今ではきちんと食事も出るようになっている。あと、玉座の間に2人分の食事を持ってきてもらうよう手はずを整えてもらった。

しばらくして一人の魔族が食事を持ってきてくれたのでブラッドと2人で食べた。私は食べなくても大丈夫なのだけれど、誰かと一緒に食べる食事は良いものだ。

食後のお茶を飲みながらブラッドと話していると扉がノックされた。


「リア様、お連れいたしました。」


「アンチデューンは一度戻ってカインを連れてきて。他の3人は入っていいよ。」


そういうと、3人が扉を開けて中へ入ってきて絶句した。死んだと思っていた仲間が普通にお茶を飲んでいるのを見たかのようなリアクションだ。まぁ、実際その状況なのだが。


「ブラッドしか蘇生できなかったのですか?」


ダリスが顔色を青くしながら尋ねてきた。


「いいえ、皆さん蘇生はうまくいきました。まだ目覚めてはいないですがじきに目覚めると思います。ブラッドさんはそもそも死んでいませんでした。死んだふりをして生き残ろうとしていたみたいです。」


「そうなのか。蘇生がうまくいったということはみんな助かるんだな。」


「必ずしもそうとは言えません。確かに蘇生した皆さんに関しては保証ができます。しかし、昨日手当を施した5人は助からない可能性もあります。できる限りのことはしましたが、施した治療自体が、前例がないものなのでうまくいくとは限りません。現状は安定しているみたいですが、本人の体力が持たなければ助かりません。」


「そんな・・・。みんなで帰れると思っていたのに。」


「あとは私にもあの5人を信じることしかできません。下手にこれ以上の処置をしてしまうと逆に成功確率を下げてしまいかねないので。」


「そうですか。ですが、まずはお礼を言わせてください。私たちを救っていただきありがとうございました。」


そういって深々と頭を下げるダリス。私はそれに対して


「お礼ならリーンさんに言ってください。あの人が私に助けを求めたから皆さんは助かったのです。」


ここまで言うと、ダリスは小さく返事をしながら涙を流した。


コンコン

扉をノックする音だ。間が悪いが、カイン達だろう。


「入ってー」


アンチデューンがカインを連れて入室してきた。


「リア、俺とアンチデューンを2人ともを呼ぶとはいったい何があったんだ?」


「あなたには伝えていなかったけれど、昨日ダンジョンに言って20人の人を救出してきたんだけど、11人が死亡。5人は意識不明、残りの4人は大けがではあったけどけがで済んでたんだ。」


「それで?」


「亡くなった11人は生き返らせたんだけど、残りの意識不明だった5人は今あなたたちと同じように『超越存在』に進化させて助からないか試してる。回復魔法では助けられそうにもなかったから。そしてその5人の中にリーンさんがいるんだ。」


「リーンが!それは本当に助かるのか!?」


やはりカインもリーンとは仲が良かったらしく取り乱していた。


「今のところ状態は落ち着いているしこのまま何もなければ大丈夫だと思う。進化の眠りから覚めるのが明後日になるかな。」


「そうか・・・。取り乱して済まない。」


「いいよ、私もリーンさんから連絡を受けて助けに言って少し取り乱したし。それで、ここからが本題になるんだけど、あなたが死んだダンジョンあるでしょ。あそこの調査中に襲われたらしいの。しかも、相手の発言的にリーンさんを殺すことが目的みたいだからあなたはあいつがまだダンジョンにとどまっているのかどうかと、ダンジョンの内部に関する調査をしてきてくれない?大まかな構造と出現するモンスター、あとは出来れば罠とかがあるかとかも調べてきてほしい。」


「それは良いが、リアはずっとリーンについておかなければならなくなるがいいのか?彼女を誰かが守らないとそいつが次来た時に殺されてしまうかもしれないぞ。」


「それは大丈夫。私も今は暇だし、リーンさんはしっかり守るから。それにあいつは本来の寿命を超えているから殺すといった。つまり、進化して寿命がなくなれば襲ってこない可能性もある。」


「なるほど。まぁ、用心するに越したことはないな。しっかり守っていてくれよ。」


「もちろん。例の敵がいたら倒してしまってもいいから。鑑定の遮断はされたけど、カインなら十分倒せる相手だと思うから。」


「分かった。ダンジョン内に滞在していたら倒してこよう。」


「それじゃあ、転移で送ってあげる。」


「その必要はないよ。俺も鍛錬を積んで自力で転移と同じような効果を持つ魔法を使えるようになったから。空間魔法【空間接続(スペースアダプタ)】」


カインがそう唱えるとカインの目の前の空間が割けた。その裂け目の向こうにはダンジョンの入り口が見えていた。


「使用者しか通ることができないから不便ではあるが、いろんなことに活用できるからとても重宝しているんだ。それじゃ、行ってくる。」


さっと魔法の説明をしたカインは裂け目の中に入っていき、カインが完全に通過すると裂け目は消えてしまった。

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