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206話 紛れた生者

まさか失敗したのだろうか?誰一人として起き上がる気配がない……。

落ち着こう、まずは鑑定だ。

ほぼ全員が安定した状態で眠っているだけだった。蘇生自体は成功したけれど、魔力が体内をめぐり、目覚めるまでは少し時間がかかりそうだ。

しかし、一人だけ蘇生に失敗した人物がいた。しかし、何か違和感がある。鑑定では死んでいるのだが、なぜか生きているような気がするのだ。悪寒を感じる。

鑑定では死んでいるとなっていてももしかしたら魔法か何かで偽装している可能性もある。

念のため、生きているかどうかの確認をしよう。さっき使った時は時間にも追われていて焦ってたからちゃんと見れてないし。


「鑑定魔法【魔素鑑定】」


蘇生に失敗した一人を鑑定すると、しっかり魔力が体内をめぐっていた。他の使者たちは巡り始めたばっかりでまだゆったりとしかめぐっていなかったが、彼は普通の人間と同レベルで巡っていた。最初から死んでなかったのだろう。鑑定をごまかしてまで何をしたいのだろう。


「そこの盗賊風のあなた。死んでいないでしょう。これ以上死んだふりをしても無駄なのでいい加減起きてください。」


そういって声をかけてみるが、起きる気配は一向にない。


「いい加減起きないと私の配下に拷問でもなんでもさせてなぜ死んだふりをして死者に紛れ込んでいたのか吐かせますよ。今すぐに起きて話してくれるなら別ですが。」


最終勧告をすると男はのそっと起き上がった。


「何でバレちまったんだよ。鑑定をごまかすマジックアイテムつけてるっていうのに。」


「それで、なぜ死人たちの中に紛れていたのですか?」


「戦闘中に敵に殴られて怖くなっちまってな。俺がつけている指輪には鑑定をごまかして好きなようにできる効果が付与されてるんだ。それで死んだことにしてれば助かると思って死んだふりをしてたんだ。そしたら眠くなっちまってそのまま寝ちまってよ。起きたら、この城にいてダリスたちとあんたがしゃべってて、俺と周りに寝かされてるやつが死んでるみたいな話をしてたから起きづらくなって、どうせならあんたが蘇生を成功させてほかのやつらが目覚めたときに一緒に起きればいいかと思ってな。」


「はぁー。そんなくだらないことで驚かさないでくださいよ。敵が忍び込んだものと思ったじゃないですか。改めて、自己紹介を。私はリア。魔王リアです。」


「俺はブラッドだ。全員の名前を覚えるのは大変だろうから、まとめ役のダリスだけ覚えておいてくれ。ダリスってのはあの生き残りの大剣使いの事な。リーンさんの事は知ってるみたいだし言うまでもないよな。あの方には絶対勝てないと思ったことはあるが、それ以外の相手だったら結構戦闘には自信があった。それでもあんたや、配下にいた、ダリスたちを案内していった悪魔みたいなのを見ちまうとどうも自信がなくなっちまうな。」


「私たちは人間ではないですし、魔物の中でも最上位の存在なので仕方がないと思いますよ。」


「そうだな。俺も慢心してないでいつかあんたとやりあえるくらい強くなってやるよ。」


「私ももっと強くなって追いつかれないよう頑張ります!」


そういって二人でしばらく笑って話していた。蘇生自体にかなりの時間がかかっていたらしく話し終えるころには日が昇り始めていた。


「ダリスさんたちが起きてくるまでここにいてください。今から寝室の準備をしても朝になってしまいますし、少し話してから休んだ方がいいでしょう。」


「それなら大丈夫だ。1日くらいなら徹夜しても戦えるくらいには鍛えてるからな。」


「そうですか。それじゃあ、皆さんが起きるまでお茶でも飲みながらもう少しお話でもしましょうか。」


そういってお茶を準備して出す。二人でそれをすすりながら、もうしばらくの談笑を楽しんだ。

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