205話 {死者蘇生}
さて、死んだ人たちを蘇生できるかやってみますか。魂が残っているのは鑑定魔法【魔素鑑定】で確認できた。魂が消えてしまう刻限までに肉体を完全に再生して蘇生の魔法を使わなければならない。
教会などには蘇生の魔法を使うことができる者もいるが、本来蘇生の魔法は生まれながらに使用でき、後天的に身に着けることは出来ない。しかし、人間でなければ話は別だ。蘇生の魔法が使えるものを取り込んだりそういったスキルを獲得してしまえばいい。私はスキル{魔神}の効果で精密な魔力操作ができ、魔法やスキルの開発ができる。今回は魔法の方が確実だろう。
死者の肉体を治癒する魔法と、死者をよみがえらせる魔法だ。思い浮かべるだけで作ってくれるのはやはりとても便利だ。
死者を治癒する魔法というのも、回復魔法は生者にしか効果がないのだ。回復魔法は対象の体内に在る魔力を活性化させ尋常でない速度での回復を促すものである。死者の体内には魔力はあるものの、それを活性化させても全く意味がない。0には何をかけても0なのである。それをこちらの魔力を用いて治癒する魔法である。
次に死者をよみがえらせる魔法。これは一般的に教会等で高額なお布施と引き換えにやってもらえる蘇生と基本的には同じだ。こちらの魔力をほんの少し流し込み、それを操り、魂に干渉することで魂の働きが再開される。それにより、魂からの魔力供給が再開され、生き返る。原理は分かるのだが、それを実現するための魔法を構成する魔力の構造については一切わかっていない。そして、死体に生命を維持できないレベルの損傷がある場合、蘇生は失敗してしまう。
少ししてスキル{魔神}に作らせていた魔法が完成した。
[治癒魔法【外魔治癒】を獲得。]
[該当の魔法は開発不可能です。]
外傷を治療する魔法は作れたけれど、蘇生の魔法は作ることができなかった。蘇生の魔法はやはり、生まれ持った人しか使用できないんだろうか?
しかしどうしよう。これでは蘇生ができない。外傷の治療だけでも先にしておこう。
「治癒魔法【外魔治癒】」
12人の死者全員を対象として魔法を発動させる。全員の傷が少しずつ治っていくのが分かる。しかし、傷が治っただけで生き返ったわけではない。蘇生の魔法が創れないとなるとスキルかな?
「想像魔法【魔力変換】、スキル[スキル作成]」
あまり悩んでいる時間はない。魂魔力を回復してから、蘇生の条件を組み込み、スキルの開発をさせる。その間に私は肉体の状況を確認する。
皆攻撃魔法や物理攻撃によって殺されたらしい。外傷は大きかったが、【外魔治癒】で治せないほどの傷を負っていたものはいなかった。
2分ほどでスキルが完成したことを示すディスプレイが表示された。今更だけど何でこういうところだけこの世界はゲームっぽいんだろう?
[スキル{死者蘇生}を獲得しました。]
うまく獲得できたみたいだ。スキル作成に関しては【創造神】としての権限が使用できて制限がかからないのは本当に助かる。
お願い、成功して!
「スキル{死者蘇生}」
12人全員へ向けて一気にスキルを発動させる。目の前が神聖な光に包まれ、肌が少しピリピリする。これは配下に死人が出てるかも。悪魔やアンデッド系統の下位種族は100メートル圏内にいただけで消滅してしまいそうだ。
それだけ大きい神聖な力が降り注ぎ、しばらくして光が収まった。そこにはいまだ横になったままの12人の名も知らぬ人々がいた。




