202話 【死神】
(リア!もし聞こえていたら助けて!!!!!)
いきなりの連絡とその内容に驚きながらも冷静に
(リーンさん、今すぐ向かいます!)
それに対する返事は聞こえてこなかった。一方的に一言いうだけで限界なほどまずい状態なのかもしれない。魔力回路をつなげる時に場所までわかるようにしていてよかった。場所はとあるダンジョンの中だ。そこはカインが率いていた『獅子の牙』が全滅したダンジョンにいる。なぜそんなところにいるのだろうか?ここからでは人数の把握は出来ない。とにかく、リーンのいる場所から1メートル横に離れた場所の座標を選び、地価の深さも調整してスキルによる転移を発動させる。
「スキル{時空間転移}」
そう唱えると、目の前の景色は急に暗くなった。そしてそこには魔力切れを起こした上に、敵の一撃を受けてしまい瀕死状態のリーンの姿があった。少し離れたところでは大柄な戦士風の男3人が何者かと戦っており、その周囲にはたくさんの冒険者の遺体が転がっていた。
何人かは生きていそうだが、皆すぐに死んでしまいそうな状態だ。リーンも今にも息絶えてしまいそうな状態だ。回復魔法で回復させても状況がよくなるとは思えない。ここはリーンだけでなく時間を止めた状態で救える冒険者は全員救うべきだ。
「禁呪【時間停止】」
そう唱えると同時に戦闘音が止む。すぐにリーンに対して治療魔法をかけようとした。すると、
「貴様か。あれだけ長い時間この世界の時を止めていたのは。我がここについたころに解除されたようだったが、こうも好き勝手にこの世界の秩序を乱されるのは見過ごせぬ。」
戦士たちが戦っていた何かが私に語り掛けてきた。なぜ動ける?この時間停止空間内で。
「想像魔法【鑑定】」
相手のステータスを確認しようとする。結果は
[鑑定不能]
絶望的だ。相手は時間停止空間内でも動くことができるうえに、何者なのかさえもわからない。
「私を鑑定しようというのなら無駄さ。私には【創造神】様の加護が授けられているのだよ。」
あいつの加護が付いてるのか。それを超えられないってことはまだまだ私は力不足ってことだな。見たところこいつになら本気を出せば勝てそうだが、ここには多くもの者たちがいる。彼らは時間停止空間内では動けないからこの状況での私の勝利条件は全員を連れての戦線からの離脱といったところか。
「では私と戦いますか?あなたが引いてくれればそれが一番平穏な解決方法なのですが。」
「そうはいきません。【創造神】様よりそこの女を殺せと言われておりますので。私は【死神】。本来の寿命を超えたものを【創造神】様の命に従い殺すものでございます。」
あいつは私の大事なものまで奪っていくというのか。この世界のために必死に動いてくれていたブレイズだけでなく、リーンさんを殺そうとするなんて。
私の大切な人をこれ以上奪っていくというのなら容赦はしない!
「そうですか。それではどこからでもかかってきてください。」
私のその発言で戦いの火蓋が切られた。




