2話 リアの力
そこは東京と呼ばれる大都会。そこで彼女、いや彼は社畜として働くひとりの中年の会社員だった。なぜか名前を思い出すことはできないが、俗に言われるパチンカスというものだったらしい。会社が休みの日にはひたすらにパチンコを打ち続けていた。しかもパチンコが原因で合計1000万円もの借金を抱えていた。そのため、会社には内緒で、仕事のある日は、会社での仕事が終わり次第、深夜の交通整理のバイトを続けていた。それでもパチンコはやめられなかった。そんな生活を5年ほど続けていたある日、今日も交通整理のバイトをしていた俺は、暴走していたバイクにはねられて死んだ。
これがリアの取り戻した記憶だ。
こうして思い返してみると最低だな、と思いつつ記憶が戻ったことで得た新たなスキルの効果を確認する。本来、自分のスキルを確認するには、冒険者ギルドでもらえる冒険者カードが必要なのだが、彼女は生まれつきスキル{鑑定}を持っていたためその必要がない。リアはこれまで自然にスキル{鑑定}を使ってきたが、鑑定できなかった人物もいるためついでに鑑定スキルの効果も確認することにした。
スキル{鑑定}視認できる範囲内のものすべてが対象、対象が動物の場合、対象の種族、年齢、スキル、状態異常の有無、ステータスを、植物や無生物の場合はその物の名前、効果、内包するスキルなどを知ることができる。相手が自分より格上の場合や鑑定遮断系のスキルを所持する場合失敗する場合がある。
これまで鑑定できなかったのは父親と母親のみだったのでこれで納得がいった。そして新たに得た、スキル{賭博}これはどんなものなんだろう。
スキル{賭博}規定量の魔力を使用することで下記の中のいずれかの効果を発揮する。メリット系統の効果とデメリット系統の効果に分けられており、すべての効果は同じ確率で出る。ただし、運気を上昇させるアイテムや魔法の効果によってメリット系統の効果が出る確率を上昇させたり、デメリット系統の効果を出にくくしたりできる。
メリット系統
状態異常回復&体力全回復(すべての状態異常を回復し、体力を全回復させる。)
魔力全回復(魔力量を使用時の自分のフルの状態まで回復する。)
魔力量増大(5時間の間魔力量が100倍になる)
極大魔法(5時間の間極大魔法が使用可能、使用に必要な魔力量はリアのフル魔力の5倍)
即死(対象に選んだ生物を即死させる。耐性等によって防ぐこともできる)
デメリット系統
スキル使用不可(3時間の間自分の保有するスキルすべてが使用不可になる)
魔法使用不可(3時間の間一切の魔法の使用ができなくなる)
エナジードレイン(体力の9割が失われる。発動から1時間は回復不能)
マジックドレイン(魔力の9割が失われる。発動から1時間は回復不能)
身体能力制限(24時間の間身体能力に関係するステータスが半減する)