199話 【魔素鑑定】
まずは魂がエネルギーの塊だと考えた場合、そのエネルギーを使用して、いうなれば魔力を先払いすることで永続的に使用できる魔法を発動させているようなものだろう。
それ以外の場合は正直想像がつかない。魂が何者なのかわからない上に。エネルギーなくしてどうやって特殊な効果を得ているのかがわからない。もちろん魔力を必要とするスキルもあるが、それ以外の魔力を消費しないスキルはどうやって発動させているのかということになる。
この世界の魔法やスキルを分かりやすく言うと、家電のようなものだ。魔力という名の電気を流し、それを流すことでもともと備わっている機能が使用できるようになる。イメージで行けば完全に家電と同じだ。ならばその家電を生み出す工場である魂とは何なのか。魔法に関しては原理さえ分かっていれば自分で作り出すことができる。しかし、スキルに関してはその専門的な知識がないうえにその知識を得る方法がないので手詰まりなのである。
専門的な知識がないなら独学でやればいいだろうと思うのだが、素人がネットの知識を借りずにスマホを一から作るようなものである。何なら専門的な知識があってもほぼ不可能だろう。
作ることに関してはどうにかなるのかもしれないが、魂からスキルを創り出すのにはどんな力が働いているのだろうか。そもそもスキルは本当に魂から生まれているのだろうか。
どれだけ考えても結論が出ることはないだろう。まずはどうにかして魂を認識できるようになる必要がありそうだ。魔素レベルのものが認識できればおそらく魂も認識することができるだろう。魔素を認識できるそれ専用の鑑定魔法を創れれば魂が魔素でできていれば鑑定できるだろう。まずはそれをやってみることにするか。
さっき分解した魔力の魔素を認識できるように鑑定魔法の構成を作り替える。元の鑑定魔法をコピーしたものなので元の魔法が失われることはない。逆に魔素を鑑定できるメリットに対してそれ相応のデメリットとして他の事柄の鑑定ができないようにする。下手に大きなデメリットができてしまうのは嫌なのでこのくらいのデメリットは付けておいた方がいいだろう。
これで魔法を創る。前までは造形やプログラムに近い感覚だったが、今では自動生成AIに作らせているような感覚だ。作りたい魔法と詳細を思い浮かべたらスキル{魔神}の効果で自動的に作ってくれるのである。
魔法を創るのは簡略化できたというのにスキルは作ることができない。なんとも不便なものである。
とりあえず新たな鑑定魔法は出来たので一度アンチデューンに対して試してみることにしよう。
「鑑定魔法【魔素鑑定】」
アンチデューンを対象に発動させたその魔法は予想以上の効果を発揮した。その体内には大量の魔素が巡っており、その魔素が構築している魔力の形もしっかりと見える。
そして魔力の流れに沿ってひときわ大きな魔素の塊が流れていた。もしかしてこれが魂なのだろうか。同時に通常の鑑定魔法も発動させてあれが何なのか鑑定してみよう。




