197話 スキルって何?
何度かスキル{賭博}を発動させ、[創造]のディスプレイを出すところまでは出来た。しかし、魔力をためる物質もしくは何かもの、いずれにしてもどういった物が必要なのかがわからないので作りようがない。定番だと鉱石だが、そんな都合のいい鉱石が果たしてあるだろうか。とりあえず、それっぽい効果のある石を思い浮かべてディスプレイに触れる。
しばらくして石が現れた。見た目は何の変哲もない石だ。しかし、鑑定すると、その中には膨大な量の魔力が封じ込められていた。しかし、この魔力は魔法を発動させる時にこの石自体を媒体にすることで使用するもののようだ。つまり、これを吸収すると他人の魔力を取り込んだ時同様死に至る。
私は取り込んでも大丈夫なのでこれから魔力だけを取り出せばおそらく魔力をためることもできそうだ。この石が2つあれば1人が進化できる量の魔力をためることができる。
後は魔力だけを抜き出す魔法の開発だ。スキル{ドレインタッチ}の下位に当たる魔法と考えればいいだろう。効果が低い代わりに自在に扱うことができ、吸収する魔力量を調整できると考えればいい。スキル{ドレインタッチ}は魔力を使用したスキルではなく、スライム、鬼、淫魔の種族的特徴を詰め込んだことで触れるだけで相手を喰らうようになったものだ。つまり再現すること自体が至難の業なのだが、スキルのコピー自体は簡単にできる。それをいろいろといじって作りたいものに変化させるしかないだろう。こればっかりはスキルがどういうもので構成されているかわからないのでどうやって作ればいいのかもわからない。
「アンチデューン、スキルってどうやってできてるか知らない?」
「わかりません。スキルを獲得するにはそのものがそれが欲しいと強く願う、もしくは特定の条件を達成する、生まれつきなぜか保有している。などさまざまな方法がありますが、そのスキルがどうやってその効果を顕現させているのかについては悪魔界でも研究が進められていますが、皆口をそろえて、不明だと言っています。」
「そう、ありがとう。」
アンチデューンに聞いたら案外知ってるかもしれないと思ったけれど、そんなことはなかった。カインもおそらく知らないだろうから、自力で見つけ出すしかなさそうだ。
そもそもスキルとは何なんだろうか?私の場合、生まれつき{鑑定}を持っていて、前世の記憶を取り戻したことで{賭博}、さらに詳細な記憶を取り戻したことで{創造神}を獲得した。後は、敵から奪ったり、種族的に進化したりして得たスキルだ。
つまり、スキルには記憶や魂が深く関連していることだけは分かる。しかし、敵のスキルを奪っても敵の記憶が流れ込んでこなかった。それを考えると、記憶よりも魂に根付いたものなのだろう。つまり、スキルは魂から生まれる?しかし、それだと魂がスキルを生み出すことができるエネルギーの塊だと言っているのと同義だ。スキルを多く獲得したものほど魂がすり減って早く死んでしまうことになる。しかしこれが本当の場合、総量に個人差はあるだろうが、不老不死の存在とはいったい何なのだろう。魂からエネルギーが無限に生み出されている?もしくは魂が複数個ある?魂のエネルギーが切れたからといって死ぬわけではないのかもしれない。あくまでもスキルを獲得するためのエネルギーであって生命力とは関係がないとか。
仮説はいろいろとたてることができるが全くわからないし、まとまらない。どんなアニメやラノベでもそうだけど、スキルっていったい何?
そんな風に頭を悩ませ、自分でも何を言っているのかわからなくなりそうなところに扉をノックする音が聞こえた。




