194話 進化するには?
2人から聞いた話をまとめるとこうだ。
まず私がこの世界を離れていた10年の間に起こった出来事。
世界的に大きな出来事があったわけではないが、魔王軍は軍事組織として世界的にも頭角を現しているらしい。軍事力は圧倒的だろうし当然か。
そしてその者たちは皆アンチデューンもしくはカインの配下ということになっているらしい。さらに下の幹部の配下の者も多数いるが、それはたどっていくと最終的に全員が私の配下だということになる。
そしてここに戻ってきたときにアンチデューンが話そうとしていたことは反乱がおこったということだ。組織としてかなりの数の強者が集まり大きな組織となっていたので内乱がおこってしまったらしい。それを治めたころに私が帰ってきたらしい。それでアンチデューンは少し疲れたような感じだったのか。
ここで一つ聞きたいことができた。アレウの依頼に関しても重要なことだ。
「その配下になった魔族たちで進化した魔族っていた?」
「いいえ、私たち以外で進化が発生した魔族はません。しかし、北から逃げきた獣人を保護し、配下に加えたところ、進化はしていませんが、確実に力が増しました。」
「そう、ありがとう。こっちについては効けたから私についても少し話しておくね。」
私もこれまでにあった事を話した。スキルなどもこの2人になら知られてもいいので包み隠さずはなした。
「なるほど。リアは目的を達成できたんだな。ただ、吸いとれるのに与えることは出来ないのか。組織としても大きいからリアに力を分け与えてもらうこととかができればと考えていたのだけれど。」
「私もそれが知りたいんだよね。どうやったらあなたたちと同じように進化できるのか。2人は私が進化したときに一緒に進化したけど、他に方法はないのか。」
カインと2人、頭を悩ませていると、アンチデューンが、
「それでしたら、悪魔族に伝わっております。生物が上位の存在へ進化する際には大量の魔力を必要といたします。他にも方法はありますが、それは条件を満たさなければならないので省きます。進化に魔力が必要なのは人間であろうと同じです。それが体内に入ることで進化が起こるのです。主従契約にある者の、主の方が進化した場合、進化の際にあふれた魔力が従者に適する魔力に変質したうえで流れ込み、従者の方も進化するのです。従者の人数が多ければ一部のみですが、リア様の場合、我らだけだったので2人とも進化できたのです。」
「なるほど、つまりその人に適する魔力さえあればどんな存在でも進化できるんだ。」
「そうでございます。ただし適さない魔力を流すと、場合によっては死に至ります。そしてどうすれば適するようにできるのかは悪魔たちでもいまだに知る者はいません。」
「そう。私の魔法ならどうにかできるかもしれないから試してみるわね。相手見魔力を流し込んでむしばんで殺す魔法は作れたからあとは変換するだけね。アンチデューン、配下たちを動かして知能の低い魔獣を生け捕りにして。できるだけ大量に。いろいろと試したいことがあるから。私はこの後一回実家に帰るわね。明日また来るから。」
「かしこまりました。直ちに向かわせます。明日には大量に運ばれてくるよう手配しておきますのでご安心ください。」
そろそろ日も傾いてきたので帰らなければ。話すだけで1日潰れるとは思わなかったけれど、有力な情報は得ることができた。明日からはその実験をひたすらするだけになりそうだ。
 




