193話 魔王城
朝食のあと私は久々の家族で過ごす時間を楽しんだ。アレウとの約束も大事だがそんなことよりも今は家族の時間が大事だ。二人が望むならアレウの依頼で得た結論から不老不死にすることもできる。アランとリリスがそれを望むかはわからないが、できるだけ早く進化の条件を見つけてしまわないと。一度時間を止めて現実時間では一瞬のようにしてしまってもいいのだが、まだしばらく3人の時間を楽しんでおきたい。しかしそんなときにアランが、
「そういえばリア、アレウたちに頼まれたことはしなくて大丈夫なのか?」
そんなことを聞いてきた。言わなければもうちょっとこの時間を楽しめたのに。
「そうだね。すぐに終わらせることにしようかな。とりあえず1回行ってこようかな。夜には帰ってくるね。」
早く依頼を済ませるためにすぐに出発した。家の外に出て、いつもの丘まで行き、スキルでとある場所へ転移する。
「スキル{時空間転移}」
スキルを使用すると目の前には見慣れた大きな城があった。そう、魔王城だ。何か手掛かりになることがあるかもしれないので、一度アンチデューンとカインから話を聞くことにする。
アンチデューンとアランに魔法でそのことを伝え、玉座の間に来るよう指示する。あの部屋は他の配下たちは入ってはならないと言われているらしく勝手に入ってくることはない。
私は正面の入り口から魔王城に入る。しかし入ろうとするとなぜか入り口にいた衛兵風の魔族に止められる。
「貴様何者だ!ここは魔王様の居城だ。人間の侵入は許さぬぞ。」
あぁ、そうか。今は人間の姿をしているんだった。
「ごめんなさいね。姿を変えているのを忘れていたわ。これでいいかしら。」
そういいながらニケ村に戻った時の魔族の姿になる。しかし、怯えながらも
「魔族であろうと、魔王様、もしくは幹部の方の紹介がなければ入ることは許されませぬ。」
そういわれた。この魔族はかなりしっかり者のようだ。しかし、面倒だ。どうやったら入れてくれるだろう。とりあえずアンチデューンに連絡する。
(アンチデューン、正面の入り口の門兵に止められてるんだけど、だれかこっちによこせる幹部っている?いたら事情を説明してこっちに来させてちょうだい。)
するとアンチデューンはすぐに手配してくれたらしく1分もしないうちに子供の風貌をした悪魔が現れた。
「これは、ディア様。もしやディア様のお客様でございますか?」
「お客様っていうかその方が魔王様だよ。私もお会いするのは初めてだけど、アンチデューン様に命じられてきてみたんだけど、あなたそんなこともわからないの?魔王様以外にこれだけの力を持つ存在がいるわけないじゃない。」
来て速攻説教が始まった。私は早く玉座の間に行きたいので
「説教するのは良いけど、ほどほどにね。わたしはアンチデューンに用事があるのでこれで行かせてもらいますね。ディアはまたあとで会うことになると思うけど。」
そういってその場を離れた。2人とも跪いていたが、魔族の中ではそれが普通なのだろうか。
とりあえず玉座の間に急いだ。玉座の間の扉の前にも衛兵らしき魔族がいたがこちらは、
「魔王リア様ですね。中でアンチデューン様とカイン様がお待ちです。」
そういってすんなり通してくれた。中に入るとそこにはすでにアンチデューンとカインがいて、お茶まで入れていた。
「遅くなってごめんね。どうしても中の様子を見てから来たかったから正面から入ってきたの。」
「いえ、教育が行き届いていなかった様で申し訳ございません。」
「いいって。それよりもいろいろと聞きたいから聞いていいかな?」
「はい。何なりと。」
それから私たちは夕方になるまで話し続けた。




