188話 再会②
遠くに見た父親の姿はかつての父とは少し違い、以前よりも威厳を持っていたように見えた。まだ距離があるので私だと気が付いていないのか、村長としてふさわしい態度を取ろうと頑張っているのかまだ何もリアクションがない。すこしして、お互いに顔がはっきり見える距離まで近づいていた。さっきは顔がぼんやり見えるくらいの感じだったが今ははっきり見える。その目は、涙が溢れないよう必死にこらえている目だった。そして手の触れあえる場所まで近づくと、
「おかえり、リア。」
かつての父のような活気のある声ではないが、落ち着いた優しい声で言葉を投げかけてくれた。私はそれに対して
「ただいま!お父さん」
もっとも言わなければならないであろう言葉を父に返した。後ろの方で叫んでいる奴らがいるけれど、その反応を楽しむのは後にしよう。今は父と再会できた喜びを噛み締めようではないか。
それから数分間アランは私を抱いて話さなかった。その目からは涙があふれ、本当に再会を喜んでくれているのだと分かった。そしてアランが私を離すと、それを待っていたかのようにアレウが
「あの、そのお方は本当に村長の娘さんなのですか?」
「あぁ、そうだ。」
「ではリアさん、なぜあなたはそうといわなかったのですか?そういえばすぐに村長に取り次ぎましたのに。それにわざと他人のような言い方もされてましたし。それに放っていた魔族の気配は何だったのですか?」
質問攻めにしてきたアレウをアランは怪訝そうに見ていたけれど私としてはもうちょっとリアクションを楽しみたいので
「ここで立ち話をするのもあれなので家に帰ってお話をしましょう。いいよねお父さん。」
「あぁ。俺もリアの話を聞きたいし、何より母さんが帰りを待ち望んでいるからな。」
アランの言葉に皆で実家に向かうことにした。もちろん村長の家での話ということでアレウたちは少し緊張しているようだったが、それも当然だろう。自分たちが勝てない実力者2人が束になってかかっても勝てない相手が目の前にいる上にその勝てない相手の家出勝てない相手3人と話をしなければならないのだから。
少しして久々の実家についた。
「リアがいつ帰ってきてもいいように村人たちが村長の家は大きくないといけないというのを断ってこの家に住み続けていたんだ。」
家の目の前でアランがそう言った。愛されていてうれしい限りだ。そしてアランが家の扉を開く。
「リリス、ただいま。」
まずはアランがアレウたちを引き連れて中に入る。」
「おかえりアラン。あらアレウたちも一緒に来たのね。で、あなたに用があったっていうのは誰なの?」
そこで私は後ろから家の中に入った。その瞬間、リリスは手に持っていたお盆を落としそうになりながらも、涙を流しながら
「おかえりなさい、リア。」
家に帰ってきて一番最初に欲しかった言葉をくれた。それからしばらくは皆で再開の余韻に浸っていた。もっともアレウたちは取り残されていたが。




