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184話 再会①

久しぶりの魔王城だ。今の時間は昼頃といったところだろうか。私がこの世界を離れてからどれだけの時間がたったのだろうか。体感時間としてはとてつもなく長い間この世界を離れていた気がする。そもそも、【リアの世界】だけで5年以上も滞在していたので体感時間では6年は離れていたことになるだろう。世界によって時間の進みは異なるのでどれだけの時間が経過したのかはわからない。

{時空間転移}で転移した先は魔王城の中でも玉座のある部屋、すなわち私が先代の魔王と戦った部屋である。私がこの世界に帰ってきたのを察したのか、懐かしい2人の気配がこちらに向かって走ってくるのを感じた。しかしそれだけでなく、他にも多くの気配を引き連れているようだった。そのすべてが魔物や魔族だったのでおそらく彼らが配下に加えたものたちなのだろう。

そういえばアンチデューンに魔法の術式を渡してから旅立って、読み解けたら連絡してって頼んだけど、それも結局来なかったな。もしかしたらほとんど時間経ってなかったりして。

そんなことを考えているとあれだけ聞こえていた足音がぴたりと止み、扉の奥から懐かしい声が聞こえてきた。


「リア様、アンチデューンでございます。ご帰還なされてすぐのところ申し訳ございませんが、こちらの世界のことについて少しお話をよろしいでしょうか。」


なんだか少し疲れたような声色をしている。私も話を聞きたいからもちろん話すけど私がいなかった間の労もねぎらってあげないと。


「アンチデューンとカインだけ中に入って。先にあなたたちとだけ話をしたいから。」


「失礼いたします。」


声をかけるとすぐにアンチデューンとカインだけが入室してきた。2人ともかなりレベルを上げて強くなったようだった。


「2人とも不在の間ありがとうね。といってもどれくらいの時間がたったのかわからないのだけれど。」


まずは2人をねぎらう言葉をかける。これだけ強くなっているということはかなり長い間留守にしていたのかもしれない。

私の言葉に涙を流しそうになりながらアンチデューンが答えた。


「とんでもございません。魔法での通話できず申し訳ございませんでした。何者かに妨害されているような感じで声をかけてもそちらに私の声が届かなかったようなのです。」


それに続いてカインも


「アンチデューンはとても頑張っていたよ。軍の育成も僕より力を入れてくれていたし、この10年間だれよりも自分が頑張って強くなろうとしていた。」


「ちょっと待って。私が出て行ってから10年もたっているの?」


カインの何気ない一言に私は驚いた。体感時間よりも長い時間が経過している。ということはこの世界よりも時間の進みが遅い世界がほとんどだったということだ。


「ああ。リアがここを出てから10年がたっているよ。色々大変なこともあったけれど、はっきりとしているのは、軍に関しては300人の精鋭たちが日々鍛錬に勤しんでいること、他に関しては特にないかな。君の両親や仲の良かった人たちも皆健康に生きているよ。ここまでにあったことは後で説明するからまずは両親に顔を見せに行ってあげたらどうだい?」


カインが温かい言葉をかけてくれた。アンデッドになったとはいえ、そういうところは人間の時と全く変わっていない。私の答えはたった一つだ。


「うん!ありがとうカイン。後から戻ってきて必ずあなたたちにもお礼をするからね。」


私はそういってすぐに{時空間転移}を発動させ、私の物語が始まった場所、ニケ村へ帰ってきた。

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