183話 『世界の狭間』の変化
鑑定をし続けてかなりの時間が経った気がするがようやく最初いた場所に戻ってきた。マッピングした情報をもとに確認していくと、まず、{白虎}と{朱雀}がいそうな世界だが、それぞれ、【虎世界】、【雀世界】があった。これらを攻略するとして、ほかにおなじような神獣が良そうな世界は内容だった。すべての世界の情報を確認したが、どの世界も今の自分には必要なさそうな世界だった。スキルを大量に得ておくことは重要だが、多すぎてこんがらがるのは避けたい。これですることは決まったのでさっそく2つの世界を攻略していくとしよう。
まずは近くにある【虎世界】からだ。虎のみが生きる世界でその虎たちを統べるのが白虎とのことだ。
おおよその位置は覚えたのでスキル{分身}を解除し、人間の姿に戻って自分の足で向かうことにした。魔法で強化したうえで、走っておおよそ1時間というところだろう。時間はかかるが仕方がない。
それから約1時間走り続けて【虎世界】がある付近まできた。鑑定で作った地図は人間の姿でも見ることは出来る。しかし、現在地は反映されないので自分で割り出すしかない。最も近くにあった世界の入り口から現在地を割り出し、そこから【虎世界】までの道のりを割り出せばいいと思っていた。しかし、最も近くにあった世界はここに入口があるはずがない世界だった。地図でも確認するが、この世界の入り口はここから2時間ほど走った場所にあるはずだ。一度スライムの姿になって鑑定を発動させ、地図に現在地を反映させる。するとここには何もないはずだった。ここから100mほど戻った場所に世界の入り口があるとなっているがそんなものはなかった。走るのをやめて200mは歩いてきたはずなのでそんな入り口は今はない。どういうことだ?世界の入り口の場所が変わっている、もしくは何かしらの条件を満たすと場所に変化が起こる。このいずれかだろう。最初に距離を測った際に密集地だけは鑑定したのだが、そこに【虎世界】と【雀世界】はなく、さっきすべてを鑑定した際も密集地ではなかった。
い一度密集地に行ってみた方がいいかもしれない。少なくとも最初スタートした位置は何も変化がなかったわけだし、密集地は何も変わらないのかもしれない。現在地から最も近い密集地はここから10分ほどでつくはずだ。おおよその距離を覚えてから人間の姿に戻り即座に走る。通るたびに変化するのか、時間によって変化するのか。後者の場合、急がなければならない。
それから走り続けること10分。途中にある世界の入り口もほとんど場所が変わっている。おそらく内容も変化しているのだろう。そして密集地があるはずの位置までたどり着いた。しかしそこには密集地などなく、世界の入り口が100mの中に2つあるだけだった。確かに他の場所よりも多いが、もともとは10個ほどあったはずだ。
それを考えると可能性は2つ。この空間を支配しているもの、おそらく【基軸世界】の【創造神】が意図的に私を迷わせている。もう一つは自動的に配置が変化している。この2つのどちらかだろう。しかし、後者の場合、最初の密集地帯に変化がないことの説明がつかない。前者ならばそれだけでなく、すべての事柄の説明がつく。前者の可能性の方が圧倒的に高いだろう。それならばここで{白虎}と{朱雀}を倒すのは不可能に近いだろう。一度【基軸世界】に戻って何か策を講じた方がいいかもしれない。ほとんどの世界は【基軸世界】を創り出した【創造神】の管理する世界なのでこの空間内もやつが支配していると考えてよいだろう。ここにいればいるほどやつの思うつぼだ。
「スキル{時空間転移}」
私はスキルを発動させ、魔王城へと帰還することにした。




