182話 スライムの鑑定
「スキル{ドレインタッチ}」
その効果でスライムの姿になる。そしてそのまま、魔法の名前を言う必要がないというより名前を付けていない鑑定の魔法を発動させる。
通常鑑定魔法を使用する際、対象を指定してそれを鑑定する。常時発動させることもできるが、それもいつでも対象を指定してそれの鑑定結果をすぐに見れるだけなので今回とはわけが違う。
今回しようとしているのは鑑定範囲最大の常時空間鑑定だ。すなわち常にその空間内の情報がすべて入ってくる。その中で必要なものだけを自分の意識化に置くようにする。一見情報の選別をしているように見えてくるが、これはあらゆる情報が入ってきたうえで、その中から必要なものを抜き出しているので、実際は脳がある生き物では処理しきれないほどの情報が脳内に入ってくるので、スライムでないとおそらく不可能だ。半径500㎞にも及ぶ膨大な範囲の鑑定。その常時発動となるとそこに在る情報の量は計り知れない。
一度鑑定を発動させて感じたのは、これだけの情報量があるのに全く苦ではないということだ。自分の意識化でコントロールする情報が必要な情報だけに魔法の効果で自動的に管理委しているのでほしいと思った情報を好きなように得ることができた。これなら余裕がありそうなので鑑定魔法の中に地図のようなものも描いていくことにした。実際にどこに何の巣穴があるのか念のため密集地帯もすべて鑑定していくことにしよう。現在地の密集地帯の配置は覚えてるからこれは先に地図に書き込んでっと。
鑑定によると次の世界の入り口まではそんなに距離がないらしい。1秒で7.2㎞も進むとなると止めれないかもな。とりあえず1回走らせてみるか。
私は出発の意思を伝えるために跳ねた。すると分身体は私を抱えてとんでもない勢いで走り始めた。ほぼ同時に数か所の世界の入り口を通り過ぎると思われたが、実際はそうではなかった。
秒速7.2㎞とは思えないほど周囲の動きがゆっくりに感じるのだ。十分速度的には早く感じてはい居るのだが、それでも1秒で2~30mといったところな気がする。複合想像物理魔法{太陽の裁き}の効果で起こった【思考加速】と似たようなものなのだろう。この体で鑑定魔法を常時発動させているからなのか、他に何か条件があるのかはわからないが、これなら止める合図もできるだろう。
のんきにそんなことを考えている暇はなく、次の世界の入り口が100mほどの場所まで迫っていた。するとその世界の入り口についての情報が脳内に表示された。それと同時に自動的に行うよう設定したマッピングも行われていた。この体で発動する鑑定は思っていたよりも便利なものだったようだ。
空間すべてを常に鑑定しているということはそこに存在するものすべてを鑑定しているということ。通常目の前まで行ってじっくり鑑定しなければならない世界の入り口も、処理能力に限界がないこの体なら離れた場所から鑑定できる。
体感時間は長いとはいえ現実時間では1時間半ほどしかかからないはずなので一度すべての入り口の鑑定をしていくことにした。




