173話 サキュバスロードと女王
それから私はひたすらサキュバスたちを快楽で堕とし、配下にしていった。ある程度レベルを蓄えたサキュバスにはご褒美と称して触れることで絶大な快楽を与えて支配していた。
初めのころはそんな私を疎ましく思ったサキュバスたちが突っかかってきたが、彼女らもすぐに快楽のとりことなり今では私に付き従っている。
この世界には東西南北それぞれに国があるらしい。ここは南方の国。他の国も同様に北方の国、東方の国、西方の国という名前らしい。そして南方の国以外の国を支配しているのがアスモデウスだという。
アスモデウスを倒せば私はこの世界からいなくなるわけだが、私の配下たちはそのまま放置するつもりはない。全員を{エナジードレイン}で殺してから去ろうと思っている。なぜなら、彼女らに与えている快楽はこの世界では私とアスモデウスしか与えることができないものである。それがなくなった彼女らが暴動を起こさないとも限らない。この世界のためにも少し心苦しいが殺すしかないだろう。
それは置いといて、この国を治めているのはもともとアスモデウスの側近であったサキュバスらしい。なぜか誰にも名を知られていないが、アスモデウスとは仲が悪く、他の3か国とも争いが続いているらしい。しかし、【表世界】でのドレインを許可しているこの国にはほかの国からの移住者も多く、他国よりも強いサキュバスが多いらしい。私のいた町のサキュバスたちはこの世界では弱い部類に入るらしい。
この世界についてはおおよそこんなところだ。私は王都に呼び出され、名も知れぬ女王と面会しそこでおおよその事情を知った。他国では戦争について一般サキュバスは知らないらしく、それで私が知らないと思って説明してくれたのだ。
そして、おおよその説明を終えた女王が話し始めた。
「わたしはサキュバスロードです。『淫魔女王』を除くとサキュバスの中では最上位種になります。しかし、あなたは私が常に発動させている{魅了}にかかる気配がありません。あなたは何者なのですか?あの町で多くのサキュバスたちをあなたが従えていると報告を受けています。それが本当にあなたの力なのなら……」
女王はここで言葉を途切れさせる。先に私の口から言うことにした。
「私は『淫魔女王』です。本来はこの世界の存在ではありませんが諸事情によりほかの世界からお邪魔しています。」
それを聞いた女王は震えながらも、冷静に
「この世界の存在ではないとはどういうことですか?」
「とある方法を使って私はこの世界に来たのです。そしてその目的はアスモデウスの討伐です。」
女王はそれを聞いて少し考え込むようにうつむいたが、すぐに顔を上げ
「それは私共にとっても都合がいいことです。ぜひともお力を貸させていただきたいと思います。わたくし共にできることならなんでも言いつけてくださいませ。」
「それは助かります。それではさっそくなのですが、あの町で私が配下にしたサキュバスたちの一切をわたしのものにしていただけないでしょうか。財産もレベルもそして命も。」
少し大胆に要求してみた。これにこたえられないようならこの国に協力してもらうまでもない。
「えぇ、もちろんでございますわ。そもそもサキュバスである私たちは誰かに支配されたら生殺与奪の権を主人に握られるのは当然のことです。そのようなこと確認なさらなくてもご自由にしてください。しかしこれ以上国民を支配されてしまうと、人口の減少が著しく進行してしまうのでできれば今支配している者たちだけでお願いいたします。」
「はい。もちろんです。彼女らが一生懸命働いてくれるおかげで私もレベルを上げれています。今の状態でもアスモデウスに勝てるかもしれませんが万全の状態で挑みたいのでもう少し自由にさせてもらいます。」
「ぜひともアスモデウスを打ち取ってください。さすればこの世界は救われます。」
支配者が倒されれば救われるというのも少し気になるが今は良いだろう。女王のその言葉で私たちの会談は終わり、私は最初に降り立った町に急いだ。私の支配下には100人以上のサキュバスがいるので私の部屋には常にだれかしらがレベルを蓄えてきているのだ。
それから約1か月の間私はサキュバスたちにレベルを集めさせ、それを吸い取り続けた。
そして1か月がたつ頃には私は1レベルレベルが上がり51レベルになっていた。これ以上ここにいても効率のいいレベルアップは見込めそうにもないしアスモデウスを倒してさっさと元の世界に帰ることにするか。
そして私は行動を開始した。




