170話 死者スキル{精神力支配}
閻魔を倒したことにより周囲に沈黙が広がっていたがそんな中で私の目の前にディスプレイが現れた。
〈死者スキル{精神力支配}を獲得しました。{時空間転移}が使用可能になりました。〉
そう表示され私はふと我に返った。閻魔を倒してしまったのならもう用済みだ。すぐに時空間転移を発動させてこんな恐ろしい世界から逃げてしまおう。
「スキル{時空間転移}」
それと同時に私は肉体の感覚を取り戻し、目の前に広がる景色は『世界の狭間』の物へと変わっていた。
今回はかなりきつかった。今まででも一番ヤバいと感じた戦いだった。これまではVITやRSTの高さから負けることはない戦いだったが、今回は、精神力を削られることで死ぬ可能性があった。今後はもっと慎重に行動しないといつ死んでしまうかわからない。今回はうまくいったので良しとしよう。そして獲得したスキルはこんな感じだった。
死者スキル{精神力支配}視認できる範囲にいる生物と使用者自身を対象にとり精神力を視認することができる。物理攻撃に精神攻撃の付与も可能。
これはおそらく閻魔が使っていたのと同じようなものだろう。精神力を削る攻撃ができ、相手の精神力を知れる。これはかなり戦いにおいて使えそうだ。
ここまで獲得したスキルとまだ行っていない世界を一度整理しよう。【死者世界】での出来事で大変だったので休憩もかねて確認しなければ。
まずは獲得したスキル。鬼粘体スキル{悪喰鬼}・勇者スキル{勇}・神獣スキル{玄武}{青龍}・魔王スキル{虚構}・死者スキル{精神力支配}。そして悪魔世界で手に入れた7つの大罪と七元徳のうちそれぞれ6つに対応した12のスキル。
そして当初赴く予定だった世界で行っていないのは【色欲世界】と【消失世界】の3つだ。
他にも『朱雀』と『白虎』が支配するもしくはあがめられている世界をそれぞれ見つけ出さなければならない。
とにかく【消失世界】は何があるかわからなくて怖いし、【色欲世界】に行くことにしよう。
サキュバスが支配する世界。この世界では私はどんな種族のどんな立ち位置の存在なのだろう。少しワクワクしながら【色欲世界】に入っていった。
目を開けるとそこにいたのはきわどい恰好をしたサキュバスたちとそのサキュバスたちにふらふらとついていく男たちの姿だった。おそらく娼館か何かと嘘をつき、精を搾り取っているのだろう。私の体を確認すると、これまた布面積が小さく地肌はほとんど隠れていないような格好のサキュバスだった。
こんな格好は恥ずかしいが、とりあえず鑑定で自分の強さや種族、周囲のサキュバスたちについても鑑定してみることにしよう。




