166話 苦戦
「【ソニックムーブ】【フィジカルストレングス】」
2つの魔法を発動させ、粋に閻魔と距離を取る。なんの魔法かわからなかった閻魔は反応できず距離を取られてしまう。ここで一気に魔法を発動させて倒してしまおう。
「想像物理魔法{光熱照射}」
それはまたしても閻魔に見透かされて今度は完全に躱されてしまう。この魔法では一筋の光を相手にぶつけることしかできないので躱されてしまうとそれまでになってしまう。どうすべきか考えていると再び閻魔による攻撃が始まった。
「貴様の攻撃では我に届かん。おとなしくやられるがよい。」
閻魔がそんな調子で煽ってくる。しかし実際にあれが効果をなさないとなると打つ手はない。新たに魔法を創ることは簡単だが、自然エネルギーを利用した魔法となると、簡単に作れるわけではない。そうなると{光熱照射}だけで対応しなければならないのだが、それでは届かない。
となると{光熱照射}を連発するのが最も効果的だろうが、それはかなり厳しい。
陽光がどのように屈折するのかを計算して最も高温になる位置で敵にぶつけなければいけないので一つだけでもかなり難しいのだ。
{光熱魔法}は空気中にある水蒸気を1か所に集めてそれで屈折した光が敵に当たる仕組みになっている。それも何回も屈折させるので1度の攻撃でもかなり大変なのである。位置を指定してそこに水蒸気を集めて冷却し水を作る。これらの水を屈折していって敵に当たるので連発できるようなものではない。
魔法の構造を変えればもしかしたらできるのか?確信はないけれどそんなことが頭をよぎった。魔力で水を創り出してそれで屈折させるなら好きな位置に好きなだけ配置できるし、それらを同時に具現化させればいいだけだ。しかし、この状況で魔法を創り出すのは無理がある。相手が近接戦を仕掛けてきている以上【時間停止】で時間の流れを遅くしてもそちらに注意していなければいけない。それに先ほど使用したときに分かったのだが、この世界で【時間停止】を発動させても10分もしないうちに解除されてしまうらしい。知れも自身で解除せず制限時間で強制的に解除された場合、5分間行動不能のペナルティがある。しかし、今の戦いのまま魔法を創り出すのは不可能に等しい。
とにかく、今より状況をよくするために必要なので魔法を発動させる。
「禁呪【時間停止】」
再び世界の時の進みが遅くなった。




