165話 反撃開始
【時間停止】を解除するとほぼ同時に閻魔の魔法が発動した。
「【精神崩壊】」
これももちろん弾かれる。鑑定によると相手の精神体を精神の強さにかかわらず一撃で崩壊させる魔法らしい。その分消費魔力は多いのでおそらくかなり弱っただろう。
しかし、それでも閻魔は詠唱を開始する。私は私で閻魔を殺さなければいけないのでどうやって殺すかを考えていた。【基軸世界】の『魔王』が魔物に対して強いのと似たような感じでアンデッド系統からの攻撃の無効化ができるらしい。私の攻撃は何をしても無効化されてしまうだろう。スキル{生者}を使ったとしてもその本質はアンデッドのままなので効果はないだろう。閻魔が魔法を打ってきているがそれは無視していいだろう。
効果がありそうな魔法もあるがそれには条件が整っていない。その条件は日光があること。その条件を満たすことのできるほど強い魔法となるとさすがに制御しきれず自分を巻き込んで暴発しないとも言い切れない。
町に建てられていた時計から今の時間は午後3時だと分かっている。午後3時なら空を覆う雲をどかせば行けるかもしれない。魔力を大量に込めて威力を上げ、範囲を広げた魔法を発動させる。
「【トルネード】!!!」
私のその声に合わせて強風が吹き荒れた。上空の雲をどかし日光が見えた。ゴーストたちは日光が苦手なようで去っていくものも多かったが、私と閻魔はどうにもなかった。私が初めて発動させた攻撃技が雲をどけただけだったので閻魔が煽ってくる。
「あれだけ威勢のいいこと言っといてそんなもんかよ。魔法の効果を防いでいるみたいだが、それなら我は剣で攻撃させてもらうぞ。」
さっきから攻撃がやんだと思ったら自分にバフをかけていたようだ。ちゃんと戦闘経験も豊富そうだ。しかし、日光が出てしまえばあの魔法が使える。私自身による攻撃ではないので攻撃が通るはずだ。
「想像物理魔法{光熱照射}」
自然の力を利用して放つ一撃を閻魔の脳天目がけて発射する。しかし、閻魔に攻撃を見透かされていたようですんでのところで即死を免れてしまった。
それでも与えたダメージは大きく、閻魔も口には出さないがかなり苦しそうにしていた。
もう一発撃てば勝てそうだが、閻魔が剣を片手に迫っている。この魔法は自然の力を利用しているが故、自分にも効果がある。そのため接近戦を行っているときには使うことができない。とにかく距離を取るために剣の攻撃に対応しながら隙をうかがうことにした。
閻魔は剣での戦闘に関しても完璧で隙がほとんどない。どうするべきか考えながらひたすらかわし続けていたらいつの間にか30分が経過していた。閻魔が少し疲れてきている様子だったのでここで一気に決めきることにした。




