16話 人知を超えた力
「いらっしゃいお嬢ちゃん。わたしはギルドマスターのリーン。Aランク冒険者からの紹介ということだけれど、お嬢ちゃん名前は?」
「リアです。」
「リアちゃんね。アン、紹介状を見せて。」
「はい。こちらになります。」
あの受付嬢の名前はアンというらしい。アンが渡した紹介状をしばらく見つめて、
「アランとリリスの紹介なのね!二人は元気にしてる?」
「え、はい、元気に暮らしてます。」
「そう!ということはあなたも相当強いのね。リアちゃん村からこの町までどうやって来たの?」
「一人で走ってきました。」
ここは正直に話しておこう。
「一人で?ちなみにどのくらいかかったの?」
「3日です。」
「速!AGIがそんなに高いのかしら?とりあえず鑑定をしましょうか。リアちゃんついてきて。あとアンは仕事に戻っていいわよ」
「かしこまりました。」
そう言い残してアンが戻っていった。
「それじゃ、行きましょうか。」
リーンについていくと、暗い洞窟のようなところに来た。その奥には鏡があった。
「この鏡が鑑定のスキルを持つ〈映し鏡〉よ。このカードを横の台座において鏡の前に立ってみて。」
言われた通り渡されたカードを台座に置き、鏡の前に立つ。すると鏡が突然光を放ち、それはすぐに収まった。
「終わったわよ。ここじゃ暗いし、私の部屋へ戻りましょうか。」
その後は、何か話すでもなくリーンの部屋へ戻ってきた。
「じゃあ、さっきのカードを見せてちょうだい。」
(やっぱりか……)
正直、リアは見せたくない。ここに来る途中で少し覗いたのだが隠したはずのスキルや魔法が隠れていない。おそらく〈映し鏡〉はより高位の鑑定を行っているのだろう。
リアはしぶしぶカードをリーンに手渡した。
リア 人間 10歳
スキル{鑑定}、{賭博}
Lv.5
HP 120
MP 1000
STR 210
VIT 140
RST 830
AGI 220
魔法:自然系統全般、火魔法全般、中級回復魔法、上位暗黒魔法、上位神聖魔法、上位支援魔法、召喚魔法(悪魔召喚、精霊召喚、従魔召喚、天使召喚、死霊召喚)、マテリアルサーチ、フィジカルストレングス、鑑定偽装
称号:無詠唱魔術師、ゴブリンキラー、魔法創造者
「とんでもないステータスね……」
リーンが圧倒される。
「いくつか聞いていいかな?」
「はい。」
消えそうな声でリアが返事をする。
「まず、この召喚魔法はどこで習得したのかな?従魔と精霊以外の召喚方法は魔族とかの中でしか残されていないはずなんだけど、そして、無詠唱はどうやって習得したのかな?魔族のそれもごく一部が使えるとうわさされるものを何で11歳の女の子が使えるのかな?そして、自分で魔法を作り出せるっておかしくない?なんかすでに3つくらい作ってるみたいだけど。」
(すごい圧だな)
そんなことを考えていると、
「あら、ごめんね。私ったら魔法のことになるとこんな感じになっちゃうの。許してね。」
「あ、はい。」